フィードバックの「自分ごと化」のために(添削したエッセイをどのタイミングで返却すべきか③)
添削したエッセイを授業のどのタイミングで返却すべきか。前回の投稿で書いたように、以下の流れでフィードバックと返却を行うのが理想であると考えます。
文法や語彙に関するcommon errorsなどの一斉フィードバックをクラス全体に与える
個々のエッセイを返却する
内容面・構成面でのアドバイスを与えたり、考えさせる
前回の投稿では上記の1.について書きました。今回の投稿では、3.の内容面・構成面でのアドバイスについて考えます。
内容・構成面でのフィードバック
内容面・構成面でのフィードバックも、common errorのように突っ込みどころを含んだ英文をモデルとして示し、どこがよくないのか、どう修正できるかを生徒に考えさせたいところです。例を示して説明します。
Do you think that high school students should have their own smartphones? というお題でエッセイを書いたとします。(随分と時代遅れなお題だというツッコミは無しとします笑)
以下のようなサンプルを示し、どこがイマイチか、どう修正するかを考えさせます。
ガラケーでも通話はできるじゃないか!ということは置いといて(笑)、ここで考えさせたいのは、お題との関連性です。お題は「高校生のスマホ所持」ですから、「連絡手段として役に立つ」は必ずしも高校生の話とは言えません。そんなディスカッションをしつつ、以下のような修正案を示します。
太字の部分に注目させて、最初のサンプルと比べて修正案の方が「高校生の話」になっていることを納得してもらいます。このように、お題との関連性が説得力に直結すること、またそれを意識したreviseをするように指示しました。
このような内容面や構成面でのフィードバックは、生徒の手元に添削答案がある状態で行った方が効果的であると考えます。そこでカギとなるのが、フィードバックの「自分ごと化」だと思います。
フィードバックの「自分ごと化」
上記のような、内容・構成面でのアドバイスを与えたり、ディスカッションをしている間、手元に自分のエッセイがあれば、提示された修正検討用のサンプルについてだけでなく、同時に「自分のエッセイにも似たようなことがないか」「こういう修正を、自分のエッセイにも取り入れられないか」とその場で思索を巡らせることができます。これが、フィードバックの「自分ごと化」です。
以前の投稿で書いた2クラスのうち、内容面でのフィードバックを与える前にエッセイを返却していたA組では、フィードバック内容がうまく反映されているrevised essayが多く見られました。Draftへの添削コメントで内容面で不十分であると指摘をしなかったエッセイにおいても、フィードバックを自分なりに取り入れてさらに良くしようというものが複数見られました。
返却やフィードバックの与え方にこだわりと工夫を
今回の一連の投稿では、添削したエッセイを返却する際の授業の流れを考えてみました。与えたいフィードバックをどうしたら生徒たちに最適な形で届けることができるか、考えさせたい事柄をどうしたら一番考えさせることができるか。与えたいフィードバック、考えさせたい事柄の性質によって、最適な授業の進め方は異なってきます。そういった観点からも授業進行にこだわりを持って計画を立てたいところです。
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