Kirtz@中高英語

中高英語 about a decade and a half / MA in TESO…

Kirtz@中高英語

中高英語 about a decade and a half / MA in TESOL / 国語科教育法を履修中 / 「英語で日本の英語教育を語ろう」「ヨンギノー英語教師が国語教育を学んでみた」 https://twitter.com/kirtz_makms

マガジン

  • 英語で日本の英語教育を語ろう

    英語教育分野での英語書籍には、日本の英語教育に根ざしたものが少ないと感じています。日本の英語教育に関する発信(と受信)が、もっと英語でなされることを願って。

  • ヨンギノー英語教師が国語教育を学んでみた

    どちらかと言えば「ヨンギノー系」の英語教師ですが、自分の対極からの景色を理解してみたいと思い、国語科教育の世界を覗いてみることにしました。

最近の記事

On Scanning and Skimming Questions in the Common Test English Reading

This year, I am in charge of teaching third-year high school students, and I occasionally conduct practice sessions using the Common Test questions. During these reading exercises, both from observing my students and from my own experience

    • 読解の四つの層について:『「読解力」の育成』を読んで

      タイトルに興味を引かれ、目次を見てみるとたいへん面白そうな内容だったので即購入しました。 高木展郎(2024)「読解力」(Reading Literacy)の育成:「探究」の基盤となる資質・能力 著者の高木展郎氏は横浜国立大の名誉教授で、専門は教育法法学・国語科教育学とあります。目次を見ても、国語科の文脈で「読解力」を扱っているものと思われますが、その中でinput, output, intakeといった用語が使われているのに大きな興味を持ちました。 PISA型の「読解

      • 共テ英語RにおけるScanningおよびSkimming問題について

        今年度は高校3年生の授業を担当しているので、時折共通テストの問題演習を行います。演習(リーディング)を行う中で、生徒の様子、また自分自身が予習で解いている実感からも、時間内にこれだけの分量を読んで解答するのは至難の業であると感じます。 共通テストのリーディング問題がこのような形式になっているのは、精読一辺倒ではなく、scanningやskimmingなどの速読も取り入れ、目的に合わせた多様な読み方を求めているからだと思われます。情報検索問題(私は「ウォーリーを探せ問題」と呼

        • 異なる生成AI間での英作文フィードバックにおける違い

          英作文やエッセイライティングの学習において生成AIの活用はますます重要になっています。私も今年度、エッセイライティングの指導を伴う授業において生徒に生成AIを使ってフィードバックを得る術を紹介していこうと考えています。 私の知る限りでは、高校生が英語エッセイへのフィードバックを得る際に使えるプロンプトとして、以下の2つが有用です。 柳瀬陽介先生のプロンプト 髙木俊輔先生のプロンプト これらのプロンプトはChatGPTで使うことを想定していますが、ChatGPTを使うた

        On Scanning and Skimming Questions in the Common Test English Reading

        マガジン

        • 英語で日本の英語教育を語ろう
          22本
        • ヨンギノー英語教師が国語教育を学んでみた
          25本

        記事

          本文内容の推測からリスニング(新課への導入)

          新しい課への導入、どのようにしていますか。 中高の多くの授業で、oral introductionあるいはoral interactionによる題材の導入を行っていると思います。その後はどうでしょうか。いきなり本文を読ませますか。 今回は、oral introduction/interactionの次の活動として、本文内容の推測からリスニングへと繋げていく授業展開について共有します。 本文内容の推測 生徒に本文内容を推測させることで、彼らの予備知識を活性化させ、学びへの

          本文内容の推測からリスニング(新課への導入)

          「制約は創造の母」

          先日、慶應義塾大学言語文化研究所主催の鼎談イベントに参加させていただきました。言語学者の川原繁人さんの声かけで企画されたイベントで、「ことばを楽しむ ことばで楽しむ ― 言語芸術の地平 ―」という標題のもと、歌人の俵万智さん×ラッパーのMummy-Dさん×言語学者川原さんのお三方による鼎談が実現しました。 俵万智さんといえば誰もが知る「サラダ記念日」。国語科教育のことを少しかじってきた私ですから、俵万智さんご本人のお話を伺えるというのは非常にわくわくします。一方、Mummy

          「制約は創造の母」

          Don't Teach English from the Platform!

          In Japanese, becoming a teacher is often described as 「教壇に立つ」 or "standing on the platform." But honestly, I'm not very fond of the concept of a platform. It elevates the teacher physically above the students, which seems to symbolize a hie

          Don't Teach English from the Platform!

          An Example of a Rubric for Grading Regular Exams: Approaches to Scoring Rubrics (4)

          In my previous three posts, I have discussed the nature of grading rubrics used for essay writing in regular exams. In this final installment of the series, I will share the grading rubric I always use for regular exams. Please note that t

          An Example of a Rubric for Grading Regular Exams: Approaches to Scoring Rubrics (4)

          Don't Teach English from the Teacher's Platform! 「英語は教壇で教えるな!」

          日本語では教職に就くことを「教壇に立つ」といいます。恥ずかしながらこの投稿を書くにあたって、教壇を英語で"platform"と言うことを初めて知りました。 正直、教壇というものが、あまり好きではありません。教師が立っているところが生徒よりも1段高く、教師と生徒間の上下関係を表しているようで嫌なのです。 以前、自分の担任するホームルーム教室の教壇を撤去してみました。すると、黒板の上部に手が届かない先生や生徒が現れ、ようやく教壇の意味を実感することになりました。確かに、黒板が

          Don't Teach English from the Teacher's Platform! 「英語は教壇で教えるな!」

          Reflecting on the Fairness of Grading Writing: Approaches to Scoring Rubrics (2)

          It seems to be becoming more and more common to use rubrics to grade the essays in regular exams. When creating a rubric for scoring writing questions in regular exams, I prioritize the following aspects: Scoring Efficiency Fairness (Addr

          Reflecting on the Fairness of Grading Writing: Approaches to Scoring Rubrics (2)

          教科書の例文を使ったCreative Storytelling

          内容的に脈絡のない例文を使って文法説明をし、授業が無味乾燥でつまらないものになってしまう。和文英訳問題を通して英作文の指導をしているけれど、単純な日→英を超えた表現力・作文力になかなか繋がらない。多くの英語教員はこのように頭を悩ませる経験をしたことがあるのではないでしょうか。 今回は、このような問題の解決策として、無味乾燥な例文にコンテクストを与え、また単純な和文英訳問題で終わらず、creativeなライティングにつなげる方法を提案します。 よろしければこの投稿の英語版も

          教科書の例文を使ったCreative Storytelling

          Creative Storytelling with Dry Example Sentences in Textbooks

          Many English teachers give grammar explanations using contextually disjointed example sentences in the textbook, leading to dry and uninteresting lessons. Many teach English writing through Japanese-to-English translation exercises but find

          Creative Storytelling with Dry Example Sentences in Textbooks

          聞く「目的」は明確か:共テ リスニング第5問(講義)の改善策

          今年度の共通テスト英語リスニングに取り組んでみました。残念ながら第5問で一つ不正解を出してしまい、満点とはいきませんでした。今回は共通テスト英語リスニングを解いてみて考えたことをまとめてみます。 よろしければこの投稿の英語版もご覧ください。 #英語で日本の英語教育を語ろう というマガジンを勝手に作成して投稿しています。 「目的・場面・状況」が明確な良問 全体的に、共通テストリスニングは良問だと感じます。とりわけ、学習指導要領でも強調されている「目的・場面・状況」の設定が

          聞く「目的」は明確か:共テ リスニング第5問(講義)の改善策

          Is Listening Purpose Clear? Improving Part 5 (Lecture) of the Common Test [共テ リスニング]

          I attempted the English listening section of this year's Common Test. Unfortunately, I got one question wrong in Part 5, so I didn't score a perfect mark. Here, I'll summarize my thoughts and insights from tackling the Common Test's English

          Is Listening Purpose Clear? Improving Part 5 (Lecture) of the Common Test [共テ リスニング]

          Versatile Rubrics and Student Reflection: Approaches to Scoring Rubrics (3)

          Continuing from my previous two posts, let's think about the grading rubrics for writing questions in regular examinations. There are four key points to consider in a grading rubric: Scoring Efficiency Fairness (Addressing variations amon

          Versatile Rubrics and Student Reflection: Approaches to Scoring Rubrics (3)

          『いま求められるコミュニケーション能力』を読んで

          村松賢一(1998).『いま求められるコミュニケーション能力』 明治図書 図書館の新着コーナーにあったので新刊かと思いましたが、いざ借りて読んでみるとなんと1998年の出版でした。タイトルの「いま」は前世紀ということになります。それでも、本書で書かれていることは現代(2024年)にも通ずるものであり、裏を返せば筆者の嘆く状況はこの25年で大きくは改善していないことが分かります。 「言わなくてはわからない社会」のコミュニケーション教育 本書が書かれた1998年当時、筆者に

          『いま求められるコミュニケーション能力』を読んで