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4月2日、春の日記

友達がパリに行くので空港へと向かう。
花粉の薬のせいで午前中からとてつもなく眠い。
お見送りに加えて、書いていた小説を渡すという大切なミッションがあったのに、現物を忘れた。

成田空港に着くと、たくさんの国の香りが混じって記憶を刺激してくる。外国に行きてえ〜ってなる。
妹が留学するときも、今日もそうだ。成田空港の匂いは海の向こうに気持ちを追いやる。

初めて行った国はフィリピンだった。
モールや空港で目にする異国の品々は14歳の僕の胸を躍らせてくれた。
「ディズニーより楽しい!」って思ったことを覚えている。
舗装されていない道を裸足で歩いたり、手でご飯を食べたり、レストランには壁がなかったり、結婚パーティーに近所の人たちがやってきたり、そういった「まだ整ってない世界」を中学生の時に知ることができたのは幸運だった。一度整ったら戻ることはできないからね。

甘いような濃いような食べ物のような香水のような胡散臭い匂いに当てられて楽しくなってきたけれど、自分は行かないことを思い出して悲しくなる。
友達にはこれから1年間、パリで仕事をする生活が待っている。
朝の準備を終えて、オムレツをささっとかきこんだらアパートの外階段を早足で降りる。1ブロック先の角にあるカフェのテラス席でコーヒーを飲んだりするのサ。
帰り道にチーズを買って、ワインなんかを飲むのもいい。
こんなに解像度の低い映画の中のパリだけど、想像するだけでよだれがでるほど羨ましい!

保安検査場の外でバイバイと手を振っていると、いつのまにかいなくなっていた。
残された僕と彼の弟はじゃあねとすぐに別れた。

空港で見送った帰り道は、結局また元の暮らしに戻る自分がすごく寂しい気持ちになる。
気を紛らわすために聴いたラジオでお腹がちぎれるほど笑った。
それでもやっぱり少し寂しかった。

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