思い出すこと「Eテレ」
思い出すという行為。
記憶を頭の中で再生することだけが、過去を確かなものにする。
小さい頃に好きだったプチプチアニメ。朝と夕方、テレビを目にする時間にeテレで流れていた5分のアニメ。
あの頃の5分って、5分だと気が付かないくらい長くて、それは5分を知らなかったからというのと、時間が流れ進むものという感覚が今より希薄だったからかな。時計を見るっていう感覚があんまなかった。1時間は超長くて、30分もワクワクする長さで15分は待つのがもどかしい長さで、5分は無視できない長さ。みたいな感覚だった気がする。
小さい頃は大人たちが、6時55分のことを7時と呼ぶことに我慢できなかったことを覚えている。違うじゃん、6時55分じゃん!という、なんでちょっと先にするんだ、勝手に6時を終わらせるな!という憤り。
8/31はまだ9月じゃないだろう、なんで「もう9月ねえ、あっという間よほんと」といか言って、どうして未来に行きたがるのかよくわからなかった。あの頃は1日1日を全身全霊で生きていたんだな。今よりも、一秒がとっても大事で、5分後のことを考えている余裕なんてないくらい一瞬一瞬全てが違う、新しい世界に触れ続けていた。
少しだけ大人になったなと思った瞬間をよく覚えていて、それは6時55分のことを7時と呼んだとき。
5分くらいなら別に何も変わらなくなったその瞬間に、子どもを忘れた。
大人になった時、7時の次は8時になった。小さい頃は7時の次は7時1分。仕方なさすぎること。
話が逸れたけども。
Eテレのアニメを思い出すとわかりやすく、記憶の在処がオレンジ色にひかる。
ノスタルジックなオレンジではなく、あの頃のリビングの照明の色。
そのオレンジを、匂いを、時間を、気持ちを思い出したいなって時には大抵eテレを見たり、動画や写真を探したりする。
とりわけ記憶や神経を震わすのは、あの頃意味を分からず通り抜けていた歌の数々。
映像や音は記憶の賞味期限が匂いとかよりも早く切れるのかな。
歌の歌詞がとんでもないものが多くてびっくりする。子供にわかるわけがない、一緒にみる大人たちに向かって、あるいはこうやって過去を思い出す行為の最中にそれは遅れてやってくる。届いてくる。
ジャムザハウスネイルのエンディングで、ハイポジの『僕でありたい』
難しい言葉がなくても、細かく説明しようとしなくても、
誰もがわかる、どっしりと沈澱する。
少し調子のはずれたリコーダーが無邪気な願いって感じを出していて、哀しくていい。
他にも素敵なテーマソングがたくさんあるので探してみてください。
忙しい時にこそ!
サムネイルのクレイアニメは懐かしい人もいると思う。
『ナッチョとポム』
次々と形の変わる彼らを作るのは湯崎夫沙子さんというクレイアニメーション作家さん。
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