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対岸の人すら見捨てない

 久々の方と今日お話した。

 元々、それほど密に関わっていたわけではなかったけれど、たまに会えばとても穏やかで、人への労りを忘れないその方を尊敬していた。

 僕が迷いを感じているのもあって、意を決して相談したら、快く時間を取ってくれた。
 それだけでもありがたいのだが、紡がれる言葉は静かだけど、優しさを湛えながらもとても力強かった。

 わかりにくいけど大事なことがあって、手っ取り早さや部分だけをなぞろうとすると失われてしまう。しかし、だからわかりにくいものをわかりにくいまま、投げつけても受け取ってもらえない。僕はそういう時に拗ねてしまう傾向があるのだが、その人は葛藤を抱えながらも、どちらも疎かにしない姿勢を貫いていた。

 自分とは対岸の位置にいる人を想うのは並大抵ではない。しばしば対立が起こってしまう。「こんな風になったらいいのに」と誰もが一度は思った経験があるだろうが、実現しないのは今に十分満足している人がいるからだ。変えることによって不利益が生じるならば、嫌だと恐怖する。
 改革を進める人達は、しばしばその恐怖を蔑ろにしてしまう。あなた達は今まで甘い蜜を吸ってきたのだから、もういいでしょうと肩を叩く。その結果、溝は深まる一方になる。

 けれど向こう側の人にまで配慮して、行動を起こす。時間をかけてでも、相手とコミュニケーションを取りながら少しずつでも行きたい方向を目指していく。その決意と覚悟と行動力は頭が下がる思いだった。

 僕には一体なにができるだろうか?
 すぐには思いつかないけれど、確かにできることはあるだろうから、それを探しながら日々歩いていこう。

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