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『熟達論』(為末大)

僕は基本的に量的な体験が質に転換すると思っています。だから、1つのことを継続的にたくさんやることを大事にしています。
一方で、強制的な体験の積み重ねに対しては疑問に思っています。

ただ、そうなると矛盾を抱えることになります。
とにかくたくさんやればいいのであれば、強制的であってもいいはずなのです。
そして、詰め込み教育とか過酷な練習はある程度の結果(どの程度の期間を指すかはさておき)が現れます。

だから違和感を抱えながらも、どうも口ごもってしまっていました。

けれど、本書の内容を読むと、その違和感が腑に落ちました。
量的な体験は確かに必要である。しかしそれにはふさわしい段階があり、そうではないタイミングでやるものではない、と。

為末大さん自身の体験と彼が出会った熟達者との触れ合いの中で見つけた法則に則り、人間の熟達の段階を5つに分類し、それぞれの段階の特徴に迫っていきます。
とてもシンプルでいながら、示唆に富んだ内容であり、ほとんど止まることなく読んでしまいました。

熟達の過程で行き詰まりを感じている人は、もしかしたら自分の段階にふさわしくない行動をしているのかもしれません。
本書を読んでみると、道が開けるような気がします。

読んでいただきありがとうございます。 励みになります。いただいたお金は本を読もうと思います。