私のためじゃないだけ

　子ども向け番組を見て、「面白くないなぁ」と言う大人はナンセンスだ。明らかに趣味嗜好が異なる対象に向けられている。それを自分の尺度に合わせて評価するのは、お門違いだ。だから、わざわざ口にする人はほとんどいない。

　今や当たり前に音楽のMWがyoutubeで公開されていて、コメント欄を覗いてみれば、「私のために書かれたような曲だ」といくらでも出てくる。

　そう、「私のため」。
　魅力を感じる人がいるから、コンテンツは成立するのだ。そして、人々の関心は多種多様だから、コンテンツも幅が出る。裏返せば、関心を持てない物もあるだろう。
　それは「私のためではない」だけ。自分に向けられたものではないものには、反応しなければいいのだ。しかし、恋愛ドラマを見て、面白くない。スポーツ観戦をして、つまらないと口にしてしまう。

　私のためのものではない。しかし、誰かにとってのものではあるかもしれない。
　だから、倫理的な問題などはあるかもしれないが、個々人の趣味の範囲に収まるのであれば、そっと口を噤めばいい。これは僕自身もついつい無意識に口にしてしまうことがあるので、肝に銘じておきたい。