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言わぬが花

 気づきがあると、ついつい言いたくなる。
 ただ、全てを口に出すのは得策とは言えない。特に視覚に頼っている僕達は、自分以外の他者や物に気づきやすく、自らについては鈍感だからだ。時に、それは揚げ足取りになり、ブーメランとして自分に返ってくる。

「なにを言うべきか」は時と場合によって変わってしまうので、判断力が問われるが、「なにを言わないべきか」はあると思っている。

 それは時間が解決してくれる事柄に関してだ。たとえば、特別な障害があるわけでもないのに、赤ちゃんが立ったり歩いたりしないことを問題にしないだろう。それは時が来れば、生命の神秘に従って、立ち上がり、動き回るようになるとわかっているから。

 新人の仕事が未熟なこと。子どもの計算が遅いこと。初めての人とすぐに打ち解けられないこと。

 時間とそれに伴う反復によって、解決される可能性があることに関しては、いくら気づいたところで、言わぬが花だ。

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