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「知らない」と認める

 外国に行って、食べたことのない食材や料理に出会う。
 初めて口にした時の感想として、僕達は「エビみたいな味」と口にする。けれど、「エビみたい」ではなく、それがその料理の味なのだ。

 自分の認識の外にあるものを、自分の知っている枠内に収めて理解しようとしてしまうのだ。これによって、共通体験がある(エビを食べたことのある)人には想像できるようになるが、同時に大事な差異が削ぎ落とされてしまう。

 これは非常に厄介なのだ。

 なぜなら、目の前の相手とちゃんと向き合えなくなってしまう。一部の発言や行動を切り取って、「こういう人だ」と判断して、相手の本質を見失ってしまうからだ。その人の行動原理や大切にしている思想を考えるということをしなくなってしまう。
 一度判断したものを僕達は、あまり再検討しない。

 だからこそ、初めて触れる人・ものには「知らない」と認めることが重要だと思う。知らないから、「こういうものなんだ」と素直にありのまま感じることができる。そして、その行為によって、僕達の世界は拡張されていくのだ。

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