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天国から去る決断を

 5年くらい住んだ家を今日引き払った。

 何度となく差し入れをくれ、最後まで気遣ってくれた大家さんにしっかりと挨拶ができて、気持ちよく去れた。本当に、感謝しかない。

 冬の凍える寒さを除けば、文句のない家だった。音も気にしなくてよくて、生活するのに全く不便のない広さ。そして、相対的に見て安い賃貸料。これ以上の家を見つけるのは難しいかもしれない。

 それでも手放したのは、いくつかの理由がある。その中の1つとして言えるのは、居心地の良い場所から抜けるためだ。
 多くの人は居心地の良い場所を求めるし、正直なところ僕だって求めている。安心と安全が保証された場所はとても貴重で、ずっといたい。けれど、日々の生活を見回してみて、あなたにとってその場はどれだけあるか?

 実はそれほどないのではないだろうか。そして、日常との対比がゆえに、どんどん整えられた場所に依存してしまう。休息が必要な時はそれでもいいだろう。

 しかし、環境の整えられた家の中にいるだけでは、悲しいかな発展性は乏しい。挑戦や変化を求める時、ドアノブを握り締めなくていけない。暴風が吹き荒れているかもしれない。豪雨が身体を打ちたてるかもしれない。それでも境界線に立ち、外へ出ていかなくてはいけない。

 環境が変わる時、否が応でも僕達は適応しなくてはいけないからだ。

 だれかが整えてくれた安心安全を捨てて、どこへいっても、安心安全を自分で築ける力を身につける。そういう段階へ進む必要があるのだ。

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