ここから先は変えられる
クレジットカードの明細が届いていて、見慣れない数字が並んでいた。どうやら僕のカードは不正利用されていたらしい。
カード会社に電話して、いくつもの部署をたらい回しにされながらも、カードが停止された。支払いについては保留され、「調査して折り返し電話します」という曖昧な返事を最後に電話を切った。
カードは再発行しなければいけないし、登録していた月々の必要なお支払いは僕自身が連絡して、手続きをする必要がある。
心底面倒だな、とは思う。
ただ、不思議とそれほどショックを受けてはいない。煮え切らないカード会社の担当者の返答を聞いていても、声を荒げることもなかったし、「電話対応の仕事って大変そうだな」と関係ないことを思う余裕があった。
変えられることと変えられないことの区別が以前よりもつくようになった。
たとえば、他人は変えられないわけで、どんなに好きな人がいたとしても「私のことを好きになりなさい」と言って、「はい、あなたのこと嫌いだけど、今から好きになります」とはならない。
拒絶された時に怒り狂ったところで、変わらない。
ただ、自分のことは変えられるから、諦めずに自分を磨いたり、自分のことを伝えたりすることで相手に振り向いてもらえる可能性はある。
変えられないものにいちいち感情を惑わされているってことは、つまり境界線がまだまだ曖昧なんだ。
だから内なる自分と話しながらそれを明確にしていけば、余計なことにエネルギーを使わなくて済むし、必要なものに注力できて、もう少し楽になるだろう。
僕が今変えられることは、支払いが滞ってライフラインが止められないように連絡をすることだ。面倒だけど、やらなきゃ自分が困るからやろう。
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