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知らないから、深みへ

 自分の目や耳は節穴だった。

 そう思ってしまうくらい、目の前の物事を認識できていないことがたまにある。他者の視点から語られる言葉に、ハッとする。同じ対象を見ていたはずなのに、自分とはまったく違う次元で捉えている。

 ちょっと触れただけで、わかった気分になってしまう。ついつい新しいなにかを求めてしまう。

 でも、実は全然わかっていないことばかりだ。

「リンゴ」とはなんだろうか?

 赤くて丸くて、甘い果物。
 じゃあ、青リンゴはどうだろう?
 切ったリンゴはどうだろう?
 酸味の強いのはリンゴじゃない?

 対象が人間だって、そうだ。一番親しいと思っている人を、他者に紹介する時、戸惑う。肩書きは言える、実績も言える。でも、人そのものをどうやって表現するかを考え始めると、言葉につっかえる。

 もう少し目の前のことをしっかりと向き合いたい。自分はなにも知らないと謙虚になって、出会ってみよう。新しいことを求めなくたって、まだ見ぬ深みはまだあるぞ。

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