語る面白さ
2019年頃からラジオを聞くようになった。昔と違いradikoで好きな時間に聞けるので、チェックする番組も増えた。その中でも、芸人さんのラジオをちょくちょく聞く。
いわゆるTVのネタやトーク番組みたいな練りに練られたものは、もう単純に見て楽しむものだ。しっかり構成の練られたエピソードトークは、その道のプロらしく僕には知りようもない工夫が散りばめられて、真似できない。
けれど、ラジオのトークは、コンビで出演していても、掛け合いとは別に1人がじっくり話す時間がしばしば取られている。また、大枠は持ちながらも無駄をあえて入れたり、脱線を楽しんでいたりして、自分の日常でも活かせるような要素があると感じていた。
思わず笑ってしまう面白さももちろんあるけれど、「ふんふん、それで」と続きを聴きたくなってしまう話の流れ。なにがそうさせるのだろうといつも感心しながら聞いていた。
一方で、最近は音声メディアがにわかに注目されるようになっている。僕自身も2020年の秋からdabelをやっていた。そうして感じるのは、自分で話すのって難しいということだ。誰かが入ってきて、話し相手になってくれると話せるのに、自分が1人で語るのはなんだか気恥ずかしくて、慣れなかった。そもそも自分の話を面白がって聞いてもらえている感覚はなかった。
しかし昨日、リアルの場で自分が話す機会があって、途中でふと「こうやって言ったらみんな笑うかもしれないな」と思う瞬間があった。その思いつきにしたがって言葉にしてみたら、本当に笑ってもらった。
狙いを持って、その狙い通りに人を笑わせる体験を、もしかしたら僕は初めてしたかもしれない。これは間違いなくラジオを聞いていた影響だ。
これをきっかけにお笑いに目覚めるなんてことは全くないのだが、語る面白さはなかなかに新鮮で、悪くないものかもしれない。
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