幸せな朝の風景


いつも通りの朝の支度。
起きてすぐに朝食と夫のお弁当を作る。
メニューはいつもウィンナーと卵焼き。
朝食もお弁当も同じメニューだ。
結婚した当初は、味に出汁の味が濃かったり薄かったりと安定しなかったけれど、今では毎日同じ味で作れている。
「おはよう」
洗顔と歯磨きを終えた夫が、片手を上げてキッチンに入ってくる。
私はこくりと頷きながら夫の掌と合わせてハイタッチ。
これがいつもの風景。
歯磨きをしないと口を開きたくない私は、足裏に廊下の冷たさを感じながら洗面台へ向かう。
夫は私が作った料理をお皿に盛り、テーブルに並べる担当だ。
洗面台で歯ブラシに歯磨き粉をつけ、また冷たい廊下を進みながら歯を磨いていく。
こうしてキッチンとリビングを往復する夫を見るのが私のルーティンだ。
おっとりしている夫は、朝も夜も変わらずにゆっくりと作業を進める。
それを見ると、朝からあれもこれもやらなきゃと考える忙しい脳が落ち着いていくのを感じる。

洗面台に戻って洗顔もし、リビングに行くとまだ朝食の支度は終わっていない。
これもいつものこと。
テーブルに並べられたものを確認し、足りないものをキッチンに取りに行く。
「おはよう」
ご飯をよそっている夫に挨拶する。
「おはよう」
にっこりと挨拶を返してくれる夫。
その笑顔を見ると、心が綺麗になる。
仕事で疲れた心を、柔らかくほぐしてくれるようだ。
今日も平和な日常が始まる。
何の変哲もない朝の風景は、世の中に揉まれて疲弊した私の心をきれいさっぱり癒してくれる。


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