【読書記録】こんな感じで書いてます


<あらすじ> と <私の感想> を書いています。 基本的にネタバレは書いていませんが、作中に出てくる登場人物のセリフを引用することがありますので、そういったものも不快に感じられる方は閲覧注意してください。

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タイトル:こんな感じで書いてます
作者:群 ようこ
出版社:新潮社
読了日:2024/03/13

<あらすじ>
感想にもならない罵詈雑言を書いてくる人には「うるせえな」
新卒で入った広告代理店を半年で辞め、転職すること四回。
本の雑誌社で経理事務として働いていたときに書評を依頼され、初めて原稿料をもらったのが二十五歳。
書きはじめの苦しみ、対象との距離感、「書く」と「読む」のバランス、まとはずれな誹謗中傷のやり過ごし方、前期高齢者になってからの変化、そしてお金より大切なもの。
ずるずると入ってしまった物書き生活のなかで、考えてきたこと


<私の感想>
小説を書くにあたって好き嫌いは良くないと、自己啓発本やエッセイも読んでいた時期があった。
けれど、どうしても好きになれなかった。
私の卑屈な心が、著者たちの経験してきた出来事や考えを楽しむ、というより著者たちの自慢話に思えて仕方なく、気分が悪くなってしまう。
だから読まなくなっていたのが数年前。
最近になって、小説を書くという決意がまた高まり、完成させるために必要な技法や知識、読んでおいた方がいい本を手当たり次第調べた。
そして出会ったのがこの本だ。
読み始めた時点で、すでに別の小説を読んでいた。
私は一冊ずつしか読めないので普段は読了後に読むのだが、やる気がみなぎっている今じゃないと読めなくなってしまうと思い、この本のページを捲っていった。
すると。
気づけば半分のページを一気に読み、すべて読み終わるのに一週間もかからないほど、一気に読み進めることができたのである。
正直、手放しで面白いとは思わなかった。
けれど、飽きることなく読み進めることができる、とても読みやすい文章だと思った。
文章を書く上でのどんな技術にあたるのかは全くわからないが、群ようこさんの周囲に対する率直な意見を、心の中に留めるだけじゃなくて周囲に伝えているところが、とても清々しく思えたからかもしれない。
詳しい内容は覚えていないが、おススメとして紹介されていたネット記事の内容に比べて、読み終わった後の満足感はあまりなかった。
けれど「文章を書く上で、読み手に伝わるように完璧に表現しなければならない」という、いわば私の脅迫的な心情を、少し和らげてくれた。
その面でいえば私にとって、文章を書くモチベーションが上がっている今の時期に出会えて、本当によかったと思う。
普段好んで読んでいる小説では、どれだけ面白くて人にお勧めしたくても、それは自分の好みに合っているから面白いと思える。
けれど、私が毛嫌いしていたエッセイというジャンルは、その人が置かれている状況に応じて、心が救われるような気持ちを湧きあがらせてくれる素晴らしいものなんだと思う。
この作品は、私に新しい発見を教えてくれたとても面白い作品だ。


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