アイスランド旅行記⑭仲間との出会い
前回までのあらすじ
首都レイキャビクを満喫した2日目。一人で回りきれた達成感を抱きながら眠りにつく。アイスランド旅行3日目は、遂にワークキャンプ仲間との冒険が始まります。
3日目の朝
現地時間 2017年2月20日 6:00 AM 起床
この日もスッキリと目が覚めた。身支度をして、ホテルの朝食会場へ向かう。
ホテルのロビーには、各国の時間を示す世界時計が掛かっていた。残念ながら日本の時計は無かったが、ここに居る宿泊客も色々な国から集まっているんだなぁと実感した。
朝食会場は、ロビーと同じフロアにあった。入り口に男性スタッフが立っており、部屋のカードキーを渡すことで宿泊名簿にチェックされ、中に入れてもらえるという仕組みだ。昨日のフロントスタッフに続き、このスタッフも丁寧で感じの良い人だった。1泊目のホテルと同じビュッフェスタイルだったが、こちらのホテルは会場が窓に面しており、より明るい雰囲気だった。内装はカフェのようになっていて、気分良く過ごすことが出来た。端っこに牛乳やオレンジジュースが置かれていた。
ところで、この旅行記を書くにあたって3日目の朝食のことを色々と思い出そうとしたのだが、なかなか思い出せなかった。朝食付きで予約していたことは確かなのに、食べていなかったんじゃないか?と思うくらい、どんな場所でどんな物を食べたのか全く記憶に無かった。
最終的には、ホテルの予約サイトで朝食会場の写真を探し、その写真を見てようやく思い出すことが出来た。
なぜ忘れていたかと言うと、特に問題が起こらなかったからだ。
2日目は、マイノリティを感じて苦い思いをした(参照:アイスランド旅行記⑧)ため、細かい感情の変化まで覚えていた。居心地の悪い思いをした分、朝食会場の様子や食べた物まで鮮明に覚えていたのだ。
これは私の性格なのか、問題なくクリア出来たことは忘れて、出来なかったことや、悪いことの方が記憶に残っていることが多い。これも旅で得た気づきの一つだが、普段の生活でも、「上手くやれたこと」は案外忘れているのだ。出来なかったことだけを記憶するのはやめよう。
集合場所へ
荷物まとめも、3日目となれば慣れたものである。母からは「体調はどう?」とLINEが来ていた。乾燥のせいか少し声が出にくくなっていたが、それ以外は特に問題無かった。予定通り8時にホテルを出発し、昨日下見したレイキャビク市役所へと向かう。
朝は、観光客の姿もまばら。昨日の街歩き中に何度も通った、ホテルの前の少し霧がかった道を歩く。
この時、私は数時間ぶりにドキドキしていた。
昨日までの2日間は、自分を知る人もおらず、恥をかいても一人。誰かと言葉を交わす必要がなかったので、ある意味気楽だった。
しかし、今日からは集団行動だ。きっと初めに自己紹介なんかをして、自分という人間を認知される。本当に大丈夫だろうか?という不安が再び湧いてきたが、この2日間で少し自信がついていたこともあり、同時にワクワクする気持ちも大きかった。
↑レイキャビク市役所のロビーの片隅にあったスペース。湖に浮かぶ市役所って良いな。
集合時間は8:30だが、いつも早めに着く癖がある私は、この日も15分前には到着していた。他の参加者は、まだ来ていないようだった。
ただ、市役所の周りをウロウロしていると、少し離れたところにバックパックを持った若い青年が立っているのを見つけた。もしや私の仲間だろうか…と思いつつ、違ったら恥ずかしい上に、どこの国の人かも分からない状態で話しかける勇気はなかった。
仲間との出会い
集合時間になった。その後、どんな風に人が集まってきたのか細かく覚えていないのだが、参加者はバックパックやスーツケースを持った若い人たち。一目で見て、現地の人との区別がついた。ヨーロッパ系と思われる人が多く、いかにもバックパッカーといった感じの出で立ちだ。
ここで、驚くべきことが起こった。なんと、日本人の5人グループがいたのである。日本語で話している会話が聞こえたので声をかけると、同じ大学のゼミから参加したのだという。私より3個上、卒業間近の4年生だった。
(日本語で直接会話するのは、成田空港で母親と話したっきり。たった3日ぶりでも何か解放感があった。)
日本人がたくさんいることの安心感と、原則1人参加なのにこれってアリなの?という単純な驚き。そして、日本人が多いのも正直どうなんだろう…という、複雑な気持ちも芽生えた。
しかし、このお姉さま・お兄さま方との出会いがいかに素晴らしかったか。これからの旅行記で書いていきたい。
さて、ロビーの真ん中ではスタッフと思われる大人が数名指示を出しており、まずは事前に言われていた参加費を渡すことになった。封筒に用意していた380ユーロを無事に受理してもらい、領収書を受け取る。
そうこうしている内に、なんと一人参加の日本人がもう3人いることが分かった。中でも、同い年の女の子2人とはすぐに打ち解けることが出来た。
全員の手続きが終わり、市役所の前でバスを待つ。
アイスランド東部への旅を目前にして、皆とても興奮していた。私は他国からの参加者にも話しかけてみた。英語の授業のレクリエーションかというくらいの会話しか出来ないが、ちゃんと通じている。それぞれ自然発生的に自己紹介や挨拶を交わしながら、既に全体のムードメーカーも誕生しており、時折笑いも起こるような雰囲気だった。
予定していた時刻を過ぎて、バスが到着した。空港から乗ったfly busのような立派な大型バスではなく、やや小さめのマイクロバスだ。
↑これは帰りに撮った写真だが、こんな感じのバスだった。後ろには荷物を積み込むためのリヤカーが取り付けられていた。これには、他の参加者も外れるんじゃないかと笑いながら心配していた。
バスに乗り込んだのは、私たち10代〜20代の参加者の他に、お世話係と見られる大人の男女2人。他にもスタッフは居たが、手続きに同席しただけで、私たちに手を振って見送ってくれた。
バスの席は自由だったので、意を決してアイルランド人(だったと思う)の女性の隣に座った。ここは挑戦しないと!という意気込みの表れだった。
どうしてこのボランティアに参加したのか、といったことを聞いてみる。すると、これまでにも他のプログラムに参加したことがあるというので、どんなの?と聞くと…そこからは凄い勢いでバーッと語られてしまい、半分も聞き取れなかった。なんでも、年を聞くと思ったより年上だったようで、恐らく私がかなり年下に見えたのだろう、「いやいや私はもうこんな歳だから…」みたいなことを言っていた。
会話はストップしてしまったが、すぐ後ろには、先ほど仲良くなった日本人の女の子2人が座っていたので、彼女たちにも手助けしてもらい、おやつなどを交換した。
初めて顔を合わせてから1時間も経っていないのに、バスの車内はあちこちで会話が繰り広げられている。みんなウキウキしているようで、まともに英語を喋れない私も楽しく過ごすことが出来た。
バスはレイキャビクを出発し、アイスランドを1周する国道1号線、「リングロード」を走る。とはいえ、当時はそんなことも分かっておらず、完全に運転手に身を委ねているミステリーツアー状態だったのだ。
次回、想像を遥かに超えるアイスランドの大自然が!
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