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特別養護老人ホームとは【今日の医学 vol.11】

1.特別養護老人ホームとは

特別養護老人ホームとは、介護老人福祉施設とも呼ばれ、
公的な「介護保険施設」の1つ。
介護保険が適用される。

経営は、地方自治体か社会福祉法人のみ。
開設許可を得るにあたり、収支等の厳しい審査がある。
補助金や税制面で優遇されている。

特養は、3つに分けることができる。
①広域型特養
②地域密着型特養
 →サテライト型:下記、参照
  単独型:通常の特養のサービスを単独で提供する小規模な施設。
③地域サポート型特養
 →在宅介護をしている方が対象。


2.入居要件

◆65歳以上で要介護3以上の高齢者
◆40~64歳で特別疾患が認められた要介護3以上の方
◆特例により、入居が認められた要介護1~2の方

入居までの順番は、毎月地域ごとに入居判定委員会が開かれ、決定。
介護度や家族の状況などから緊急度が点数化され、
点数が高い順に入居できる。

所内の体制などにより、24時間ケアを必要とする方や
看取り希望者の受け入れができないケースがある。
また、感染症を持つ等「集団生活が難しい」と判断される方も入居が困難。


3.提供されるサービス

◆食事
 →外出等で食事を抜いた時でも、1日3食分請求される。
  長期入院等で食事を停止した場合は、請求されない。
◆入浴
 →週2回としている事業所が多い。
◆排泄
◆健康管理・緊急対応
◆リハビリ
 →PTやST、OTを1名以上配置していれば、「個別機能訓練加算」が適用
◆掃除や洗濯(生活支援)
◆買い物
◆レクリレーション・イベント
◆看取り
 →最近、取り組む施設が増えている(6割以上)
  「看取り介護加算」が適用

4.人員体制

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施設長、医師、看護師、生活指導員、介護職員、栄養士
機能訓練指導員、介護支援専門員(ケアマネージャー)
調理員、事務員、その他
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常勤必須は、
施設長、生活指導員、介護職員、ケアマネージャー

数に定めありは、
医師(入所者100人に対して、1人)
看護師(入所者100人に対して、3人)
生活指導員(入所者100人に対して、1人)
介護職員(入所者3人に対して、1人)
ケアマネージャー(入所者100人に対して、1人)

看護師の24時間配置は、義務づけられていない。
介護スタッフは、24時間常駐
夜間・深夜は人数が少なくてもOK。

介護福祉士を入居者6人に対し1名上常勤し、
設定されている条件を満たしていれば、「日常生活機能支援加算」が適用。


5.看護師・介護士が行える医療行為

【看護師】
インシュリン注射、褥瘡の処理、たんの吸引
中心静脈注射、胃ろう、在宅酸素、人工呼吸器の管理

【介護士】
体温測定、血圧測定、軟膏の塗布、湿布の貼付
皮膚疾患に対する処置(消毒、絆創膏の貼り付けなど)
点眼薬の点眼、内服薬の内服補助、座薬の挿入
鼻腔粘膜への薬剤噴射の補助
→以前は、爪切りや耳かきも禁止されていた。


5.良いところ

◆費用が安い
 →民間運営の有料老人ホームなどと比べると費用が安い。
  一時入所金なし。月々の負担額は、数万~数十万。
  加算が増えた場合は、15万円を超えることも。
◆24時間介護が受けられる
◆原則として、終身入所
◆公的な為、倒産のリスクが少ない


6.悪いところ

◆入所まで時間がかかる。
 →入居待機者が多いことで有名だったが、
  入居要件が2015年から要介護度3以上に改正されたことで、
  52万人いた待機者数は、29万人に減少。
  申し込みから1~2か月のところもあれば、数年かかるところも。
  政令指定都市や東京都では、空室の施設が増えている。
◆医療体制に限界あり
 →医療依存度の高い方は、受け入れNGの可能性あり。
  (たん吸引や胃ろう、褥瘡、経管管理、気管切開など)


7.サテライト型特養

本体施設と密接な連携を取りながら、
別の場所で運営される地域密着型特別養護老人ホーム。
入居定員は、29名以下。

公共交通機関でを利用し、おおよそ20分で移動可能な、
同じ法人で運営されている特別養護老人ホーム、介護保健施設、
地域密着型特別養護老人ホーム、病院もしくは診療所に限られている。

本体施設と密接な連携が取れているという前提で、
人員基準や施設基準の緩和措置が取られている。
(ex.医師等を配置しなくても良い、看護職員は非常勤でも良い)


8.参考

https://www.minnanokaigo.com/guide/type/care-insurance-facility/tokuyou/







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