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潰瘍性大腸炎とは 【今日の医療知識 vol.14】

1.潰瘍性大腸炎とは

大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患。
発症原因は不明で、指定難病に指定されている。

患者数は、人口1000人あたりに1人程度。
米国よりも割合が低い。
内視鏡検査による診断法の向上や疾患に対する認知度の向上もあり、
患者数は年々増加している。

発症年齢は、男性で20~24歳、女性で25~29歳が多い。
喫煙者のほうが発病しにくい。


2.症状

下痢や血便、痙攣性または持続的な腹痛。
重症になると、発熱や体重減少、貧血などの全身の症状が起こる。

炎症が起きて症状が強く現れる「活動期」と
症状が治まっている「寛解期」があり、
多くの場合は寛解期を維持することができるが、
人によっては再燃し、活動期と寛解期を繰り返すことも。


3.診断方法

まずは症状の経過と病歴のヒアリングを行い、
血性下痢を引き起こす感染症と区別を行う。
その後、X線や内視鏡による大腸検査で、
どのような形態で、どの範囲まで及んでいるかをチェック。
さらに、生検で病理診断。


4.治療方法

原則、薬による内科的治療を行う。
重症の場合や薬物療法が効かない場合は、手術が必要となる。

内科的治療
潰瘍性大腸炎を完治に導く内科的治療はないが、
腸の炎症を抑える有効な薬物治療は存在する。
異常な炎症を抑え、症状をコントロールすることが目的。
多くの場合は、内科的治療で改善する。

外科的治療
下記のいずれかに該当する場合、大腸全摘出が検討される。
(1)内科的治療が無効(特に重傷者)
(2)副作用などで内科的治療ができない
(3)大量の出血
(4)穿孔(大腸に穴が空く)
(5)大腸がん、またはその疑い

血球成分除去療法

主に、薬物療法で効果不十分の場合に検討される。
血液を体内からいったん取り出し、炎症を起こしている「異常に活性化した白血球」を外部装置で取り除き、再び体内に戻す。


5.治療後

多くの患者さんは症状の改善や消失が認められるが、
再発する場合も多く、寛解を維持するためには継続的な内科治療が必要。
発病していから7~8年後に、大腸がんを合併する患者さんもいる。


参考



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