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ある映画の「あの」女優

年末年始にかけて、古い名画が沢山テレビで放映されていますよね。
私も年末にある洋画を観ました。

それは、「七年目の浮気」です。オープニング画面がとてもオシャレ。いや、これなんかに似てるぞ……あ!古畑任三郎のオープニングだ!!

古畑任三郎のオープニングといえば、あの独特の曲と共に黒い線や図形が引かれるうちに俳優や、脚本、監督の名前が四角の箇所に出てきます。モノクロや赤の四角いグリッドや図形に対して「七年目の浮気」はカラフルなピンクや赤など暖色系で構成され、よりシンプルなものですが似ています。

これ絶対、三谷幸喜監督の好きな人の作品だ!

と確信しましたが、やはり監督は「ビリー・ワイルダー」でした。

あらすじをご説明すると、出版社につとめる男が妻子を避暑地に送り出し、その間にマリリン・モンローへ浮気心がうずくという単純なお話ですが、面白い。

知的ではないものの、とびっきりの笑顔をみせる明るく美しいマリリン・モンローがとにかく可愛い!!

自信過剰で妄想過多な男主人公を前に、二階の窓から顔を覗かせて

「裸なら、病気も戦争もないわ」

など、あっけらかんと言ってしまうマリリンは本当に眩しい。そう、裸なら皆、武器も持つことは出来ないのです。さらっとしたセリフの中に真理が含まれています。
1カットが長く、展開されるセット数が少ない作品ですが、観客を退屈させない。
ずっと俳優さんが、お芝居している印象。
(主役の男性は本当に役にハマっていらっしゃる)
上品なコメディ映画を観た、という感じです。
所々、忘れてはいますが、ビリー・ワイルダー監督の作風は表現者がしがちな「下品な笑い」に対極するものだと思います。

これぞ、三谷幸喜の映画作品に通ずる、といった感じでした。
影響を受けているのが良く分かりました。

コケティッシュで、しかし女が見ても可愛いだろうマリリン・モンローは36歳の若さで亡くなっていますが、本当にもったいない。

こんな魅力があるなら、歳を経たとしても、もっともっと色んな役が出来たはずです。

「私には想像力だけ欠けているの」

と可愛く語る映画の中のマリリン・モンロー。ビリー・ワイルダーが彼女に向けてあて書きしたセリフでしょうか。マリリン自体が、自分の未来を想像できずにこの世からいなくなってしまったかのような感じです。

野坂昭如の曲「バージンブルース」には、「マリリン・モンロー、ノーリターン!」という嘆きのような歌詞が出てきますが、まさにそう叫ぶ気持ちが分かりました。

あの、底抜けに魅力のある明るい女性(「七年目の浮気」を観る限り、としかいいようがないですが)がこの世を全うできなかったのです。
そう思うだけで少し寂しい気がしてしまいました。

スクリーンの中で、人々の記憶の中で、彼女は色気のある笑顔で微笑み続けるのでしょう。

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