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チャーハンをきれいに食べたい

飲食店でチャーハンを注文すると
『レンゲ』がついてくる。

私はレンゲを使うのがへたくそなのかもしれない。

米粒ひとつ残さず、かつ速やかに食べきるには
レンゲは私に向いていないのかもしれない。

レンゲを使うことの難しさは、最後にある。

チャーハンがもっさりあるあいだはレンゲを
使って問題はない。

最後の数粒の米粒をレンゲですくうのが
極めて難しい。

なぜチャーハンにレンゲを使うことになったのか
腹立たしさすら感じている。

あんな分厚いスプーンで最後の米粒がすくえる
わけがない。

最後までレンゲを使って米粒残さずきれいに
食べたきったことがあるが、かなり時間を要した。

左手を使いたくなって、指で米粒をレンゲに
のせるという愚行な行為もしてしまった。

『何をしているんだろう私は・・・』

ふと我にかえる。

口に入れるまでの工程をわざわざ増やしてしまっている。

近くのお客さんに

『そこまでして食べるか』

『食いしん坊だな』

と鼻で笑われたかもしれない。

そういった恥じらいを捨て、愚行なやり方までして
レンゲを使い、チャーハンを食べきった。

そうなるくらいなら、レンゲを使うことを放棄した方が
良かったのかもしれない。

チャーハンをおいしく食べたいだけなのに、
感じる必要もない感情が湧き上がってくる。

一番の目的はおいしく、おだやかに残さず食べること。

それを達成するために、はたしてレンゲが
ふさわしいのだろうか。

しかしながら、やはりチャーハンには『レンゲ』が
お似合いだ。

チャーハンを食べる行為はレンゲがお皿にカチカチあたる
音があってこそ成り立っている。

レンゲがお皿に当たる音を聴いて、
『チャーハンを食べている』と強く認識できる。

お箸だとその音を聴くことができない。

レンゲあってのチャーハンであること、
そして最後まできれいに食べるというこの2つの事柄を
達成するために、最後だけお箸を使うことにしよう。



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