初めての海外旅行がそんなとこ？選手権があれば多分優勝できる
今でも出不精でインドアだ。
２８歳まで日本を出たことはなかった。
周りの友達が韓国や台湾に行った話を聞いても
全く興味をそそられない。
「へぇ～」と聞き流す程度。
なにがいいのか全く共感できない。
休日はおうちでゴロゴロ過ごしているのが幸せ。
旅行自体も興味はなく、海外なんてまったくもって
縁がないと思っていた。
まさか、
あんな国に行きたいと思うまでは。
２０１３年、秋。
とある番組をゴロゴロしながら見ていた。
海の中に巨大な滝あらわる！
そんな名目で、ある国が特集されている。
その番組を見たくて見ていたわけではない。
たまたまテレビがついていたからだ。
問題の海の中にある滝の映像が流れた。
さっきまで寝ころんでポリポリ頭をかいていたはずの私。
体を起こし、テレビ画面に釘付けになっていた。
その映像がこれだ。
なんだ、この景色は！
一体どうなっているんだ！
もちろん、本当に海の中に滝があるわけではない。
サンゴ礁と海流によって作り出されたものがそう見えるという。
ＢＧＭに流れている曲も素晴らしかった。
エンヤの『Ｂｏｏｋ ｏｆ Ｄａｙｓ』
映像とぴったりの音楽。
呼吸をするのも忘れ、テレビの中の世界に
完全に入り込んでいた。
この景色を自分の目で見たい。
インドアで出不精の私が、初めて海外へ行くと
決心した瞬間。
場所はモーリシャス。
アフリカ、マダガスカルの東のあたりにある。
東京都とほぼ同じ大きさの小さい国。
とにかくあの景色を自分の目で見るんだ！
脳内は海の中の滝で支配されていた。
でもどうやって見れるのだろう。
当時、モーリシャスに行ったことがある人のブログや
情報は出回っていたものの、海の中の滝を実際に
自分の目で見た人の情報はなかった。
探しに探し、旅行会社にも相談する。
「とにかくあの海の滝が見たいんです。」
そう旅行会社に訴えた。
「ヘリを手配できるホテルがあります。」
旅行パックにはないが、別途ヘリ代を支払えば、
上空から海の滝を見れますよ、とのことだった。
やった！
勿論、支払うに決まっている。
金額はそこそこするがどうでもよかった。
あの景色が見れるのであればなんでもする。
気づけばこれまでにない決断の速さと行動力を
いかんなく発揮させていた。
それほど私はあの景色に魅了されていたのだ。
海の中の滝が見れると聞き、心底うれしかった。
これで自分の夢が叶ったも同然。
あとは、一緒に行く人問題。
友達がいない。
金額もお高めで、ますますハードルがあがる。
手当たり次第、連絡するしかない。
友達と思ってくれていないかもしれないが、
連絡するしかない。
最悪、一人で行けばいい。
まずは中学時代の友達にラインする。
「いいよー」
あっさり決まった。
なんなく問題解決。
そしてついに初めての海外旅行を経験する。
東京から片道１７時間かかるモーリシャスにむけて
旅立った。
わくわくが止まらない。
はじめての機内食も体験。
きれいな金髪お姉さんに
「Ｂｅｅｆ or Ｆｉｓｈ？」
と聞かれ、
「ふぃっしゅ！」
と答える。
よく聞くフレーズにも対応できた。
機内で映画も観た。
こんなに旅行が楽しいなんて。
まだ現地に到着してもいないのに
心底楽しんでいた。
そんなこんなでモーリシャスに到着。
そしてついにあの景色を見れる日がやってきた。
天候にも恵まれ、晴れていた。
はじめてのヘリにも興奮が止まらない。
私は機長の隣にずうずうしくも座った。
日本でも地上でも絶対しない自撮りを
モーリシャスの上空でやってしまっている。
完全に浮かれていた。
どのくらい飛行したのだろう。
ついにお目当てのスポット付近にきた。
絶対に写真におさめるんだ！
この日のために買ったカメラを構える。
自分の目にもあの景色を焼き付けるぞ！
機長がジェスチャーでここだよ、と教えてくれた。
そして、今まさに自分の目で見たかった景色を
見れるときが来た。
その時、私が撮った写真がこれだ。
人生で一番の感動だったかもしれない。
撮るのが下手くそで写真では伝わりにくいが、
確かに海の中に滝があった。
イリュージョンの滝！
本当にこの景色を見れるなんて。
海外旅行に全く興味がなかった私。
この感動を再び味わいたいと思い、
なんと１年後にも、この地を訪れていた。
そしてまたこの絶景を見たのだ。
どれだけ魅了されているんだ。
どれだけモーリシャスが好きなんだ。
３度目、この景色を見る日はいつだろうか。
また必ず行きたい。
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