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キャラメルは二度と食べない

キャラメルを食べて歯の詰め物がとれたということを
5回も繰り返している。

同じことを5回もだ。

そのたびに歯医者へ行き、詰め物がとれた経緯を
説明している。

先生に呆れられたくないので、キャラメルではなく
別の食べ物のせいにしたこともある。

ここまできたら、この課題と真剣に向き合う
必要がある。

詰め物ごときで治療費を無駄に支払うわけにも
いかない。

3回目まで、なんとも思っていなかった。

4回目、さすがに対策を考える。

今度食べるときは、詰め物がない右側で食べよう。

そう決めて、またキャラメルを食べる。

口の右側にキャラメルを放り込み、
右側を強く意識して食べる。

そして、数分も経たないうちに右側で食べるという
決意は忘れている。

いつのまにか、左側に移動したキャラメルが
詰め物を吸着している。

ガリっ!と音がして、詰め物が取れたことに気づく。

さっきまで、右側で食べると決意していたのに。

時すでに遅し。

また同じ過ちを繰り返している。

キャラメルの吸着力にも脱帽だ。

これまでどれだけの数の詰め物を吸着してきたのか
計り知れない。

私に非があるのだろうか。

そして、4回目の失敗をすっかり忘れた頃に
またキャラメルを食べている。

4回目の時にかかげた対策すらも忘れて、
口に放り込み、早々と咀嚼している。

そしてまたガリっ!と音がして、詰め物が
取れたことに絶望している。

いよいよ、問題解決しなければならないときが
きたようだ。

もう、二度とキャラメルを食べない。

それしか対策はない。

死ぬまでキャラメルを食べるのを放棄するのだ。

決して安易なことではない。

しかし、詰め物ごときで歯医者に予約を入れるのは
もう、こりごりである。

今度は、先生に怒られるかもしれない。

他に言い訳する食べ物がない。

今後、6回目がないことを祈る。


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