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算数の小テストでいかさまをした話~懺悔したいことその3~

小学4年生の時、算数の授業で毎回小テストがあった。
テストに全問正解すると、「大変よくできました」とかかれた「特別シール」をもらえていた。

シールをたくさんもらっている子は優秀だという証。
優秀な子が特別シールを教科書に貼っているのをみると、
とてもうらやましかった。

私も特別シールがほしい。
それを叶えるためには、当たり前だが、テストで満点をとる必要がある。

私は算数が苦手で嫌いだった。
テストで満点なんかとったことがない。
クラスメイトのほとんどが満点をとったテストでも、
私は満点がとれなかった。

小テストは、制限時間があった。
時間内に全問解いて、かつ全問正解というのは
私にとってハードルが高すぎた。
このままでは、一生特別シールをもらえない。
私は途方に暮れた。

答え合わせは隣の席の子と行っていた。
お互いの解答用紙を交換し、答え合わせをしていく。

ここで、おそろしい悪魔のささやきが聞こえてきた。

「そうか、間違っていても全問正解にしてもらうといいんだ」

たとえ、不正解だったとしても、全てマルをつけてもらえば、見た目上は満点の解答用紙ができる。
そう企んだのだ。
またもや、私利私欲に目がくらんだ私は、すでに罪人と化していた。

隣の子はお人好しの男の子、佐藤君だった。
私の愚行な作戦をお願いするには、頼みやすい性格だ。
早速、佐藤君に相談することにした。

全ての答えにマルをつけ、満点の解答用紙にするようお願いした。
佐藤君はやや不服そうな表情をしながらも、
私の強引な説得で、全ての答えにマルをつけてくれた。

採点が終わると、満点だった子は先生に特別シールをもらう。
私は満点顔で特別シールをもらった。

はじめての特別シールに感動した。
喉から手が出るほど欲しかった、特別シール。

特別シールがもっと欲しい。
私はすっかり正気を失っていた。
気づくと、先生の机の中から特別シールを持ち出し、
自分の教科書に貼っていたのだ。
先生を欺き、特別シールを着実に増やしていた。

愚の骨頂だった。

その後も、私のでたらめの解答用紙がばれることはなく、
小テストは継続された。

だが、幸せは長く続くものではなかった。
佐藤君が私の愚行を見かねて、先生に言ったのだ。
私のいかさまがとうとう明るみにでた時だった。

その日、当たり前のように先生に呼び出しをくらった私は、ただの罪人だった。

当時、佐藤君が私のいかさまを言ってくれていなかったら、今も罪人として生きていたのかもしれない。
そう思うと、佐藤君に感謝の気持ちでいっぱいになった。

あの時、算数の小テストで、いかさまをしたこと、
先生の机の引き出しからシールをとり、
自分の教科書に貼っていたことを、ここで懺悔します。

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