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痛いの痛いの飛んでいけーではなくて

子供が転んだりして痛がっている場合、その痛みをどこかへ飛ばすためのおまじない。

「痛いの痛いの飛んで行けー」

幼きころはこの呪文でなだめすかされたものだ。

幼き頃からあまのじゃくで、それを言われる度に泣き止むことはなかったが呪文を唱えられることでどこか安心した記憶はある。

私には6歳の甥と4歳の姪がいる。

今年の春、実家に帰省したときのこと。

姪が居間を走り回って柱にぶつかり転んでしまった。

案の定、どこかぶつけたらしくワンワン泣いている。

そこへ、すっと甥がやってきて姪の足を持ち上げ、

「痛いの痛いの、ガブっ! もぐもぐごっくん!」

こう言ったのだ。

痛みを飛ばすのではなく、食べて咀嚼し飲み込んだ。

聞いたことがない呪文を言っている。

おそらく、彼自身もこれを言われた経験があるのだろう。

しかしながら、これをスマートに言えたことと、すばやく姪のもとへ駆け寄った甥の行動には感服した。

保育園の先生にでも教わったのだろうか。

それとも彼の両親である、私の弟とその奥さんに教育を受けたのだろうか。

弟に訊いてみた。

少し悔しかったが、私の弟が教えたフレーズだった。

なんとも愛がこもったフレーズを思いついてやがるではないか。

そしてそれをしっかり自分の子供に教育してやがる。

他者が抱えている痛みを飛ばすのではなく、自分が食べてあげるという発想か・・・

なるほどな~。

甥にはこれからも優しい心の持ち主であってほしいと思った日だった。


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