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自分と同じにおいがする人

人と関わる中で、この人は自分と同じ性質を
もっているなと感じることがある。

そういう人とは話しやすいし、
一緒に働いていて楽である。

自分と同じにおいがする人は、
好きなものも共通していることが多いように感じる。

私はジブリ作品のなかで「魔女の宅急便」が
一番好きだ。

ビデオテープが擦り切れるほど、
何度も観ていた作品。

寝る前には必ず魔女の宅急便を観ていたし、
ピアノの発表会では、なんとしてでも
魔女の宅急便の曲を弾きたいと先生に
わがままを言っていたほどである。

誰もが一度はしたくなる質問、

「ジブリで一番すきな作品は何か」

である。

私がこの質問をした中で「魔女の宅急便」と
答えた人はほとんどいなかった。

「天空の城ラピュタ」と答える人が
多かった印象である。

「紅の豚」と答える子が稀にいたくらいか。

職場の後輩だった、自分と同じにおいがする
男の子に、質問したことがある。

「ジブリで一番すきな作品は何?」

「魔女の宅急便」と彼は答えた。

やっぱりそうか、私と同じ。

私の嗅覚は間違いなかった。

私には自分と同じ性質をもった人間と
そうでない人間を嗅ぎ分ける、特殊能力が
備わっている。

ついでに、魔女の宅急便の中で一番好きなシーンを
聞いてみた。

「キキが家族のもとを離れ旅立つシーン、
お父さんとお別れするシーン」

だと答えた。

私と違う。

しかも、そのシーンで彼は号泣するという。

ますます共感できない。

まだ冒頭で、始まったばかりだというのに。

なぜ涙がでる。

私の好きなシーンは、

「突然、雷雨に見舞われたキキが、
列車の中に逃げ込んで、ワラにもぐって
眠りにつくシーン」

だ。

あのワラでできたお布団が、とても気持ちよさそうで
私も一度はやってみたい。

そのことを彼に熱弁すると無念にも共感を
示してくれなかった。

彼は作品のタイトルを「魔女宅」と
略して言っている。

そんな略の仕方をしている人を初めてみた。

私は略せず、しっかりと
「魔女の宅急便」と言いたいタイプだ。

彼は、魔女宅が好きでキキがあしらわれた
Tシャツを買ったという。

私もキキは大好きだが、
Tシャツまで買いたいと思ったことはない。

ニシンのパイを食べてみたいと私が言うと、
彼はそうでもないと言った。

ほうきにまたがって空を飛べると本気で
思ったことがあって、
何度もほうきにまたがったことがあると私が言うと、
彼はやったことがないと言った。

自分と同じにおいがする人を嗅ぎ分ける能力は、
どうやら勘違いだったらしい。


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