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Vol.2 聞こえる人たちがもつ「聴覚障害者のイメージ」から「当事者の障害認識・表現力」へとつなげる


【響け ~La mia voce~】Vol.1
多くの皆さまに、ご覧いただき、ありがとうございました。興味・関心を持っていただいたことを、とても嬉しく思います。また、ご感想を寄せてくださった皆さまにお礼を申し上げます。
皆さまからの率直なご意見・ご感想は、とても参考になりますし、励みになりますので、今後も引き続き、よろしくお願いいたします。



皆さんは「聴覚障害者」と聞いて、どのようなことを思い浮かべますか?


例えば「テレビドラマ」や「映画」などを通じて、
聴覚障害者「耳が聞こえない」「話せない」「手話を使う」といったイメージが、多くの皆さんにあるのではないでしょうか?


しかし、近年は、人工内耳じんこうないじの進歩によって「話せる聴覚障害者」も増えている現状にあり、聴覚障害者の多様化が認められるようになってきました。


ひとくちに『聴覚障害者』といっても、以下に示した組み合わせによって、様々なタイプがあります。

*専門用語や細かな内容については、様々なところで閲覧できますので、ここでは詳しい説明は割愛します。
( リンク、資料を掲載しております。◆をクリックしていただくと、各サイトにアクセスできます。添付した「トリセツ」でも、いくつかの用語を解説しておりますので、ご参照ください。)

SHIONOGI(塩野義製薬会社)


■ 難聴の種類

耳の機能のどこに障害があるのか、原因となる病気
(  |伝音性難聴《でんおんせいなんちょう》 、  |感音性難聴《かんおんせいなんちょう》、|混合性難聴《こんごうせいなんちょう》、 |一側性難聴《いっそくせいなんちょう》

聴覚情報処理障害ちょうかくじょうほうしょりしょうがい(APD)

聴力ちょうりょくレベル

どの程度聞こえにくいか(軽度、中等度、高度、重度)
*障害者手帳の有無

■ 発症時期

いつから聞こえにくくなったのか
(先天性、幼児期、中途失聴、高齢者)

聴力型ちょうりょくがた

どの音域の音が聞こえにくい・聞こえないのか
(高音域難聴、低音域難聴、平坦型、山型)

■ 補聴機器の使用・調整状況

機器の使用有無、使用した場合の効果の程度
( 補聴器、人工内耳、Rogerロジャーなど補聴支援機器、補聴機器の使用なし )

■コミュニケーション方法

用いるコミュニケーション手段
( 音声、口話こうわ手指日本語しゅしにほんご日本手話にほんしゅわ中間手話ちゅうかんしゅわ筆談ひつだん など…)

■ 生育環境

教育を受けた場所、家族や周囲にろう者・難聴者がいるか
(ろう学校、難聴学級、一般校、デフファミリーなど)

*デフファミリー:聞こえない親を持つ聞こえない人

■ 重複障害の有無

聴覚障害以外の障害の有無、程度について
(身体障害、発達障害など…)

■アイデンティティー

どのように生きたいか(ろう者、難聴者など…)




ここにあげた情報は、ほんの一部であり、他にもあるかもしれませんが…
聴覚障害者と言っても、これらの組み合わせにより、様々な人がいることを知ってほしいなと思います。


というのも…
「補聴器を使って、音や声を聞いたほうがいい。なぜ、あなたはつけないの?」
「聴覚障害者だから、手話を使うんでしょ!」
「ろう者は、声を出さないよね」など…
「聞こえる立場」「聞こえない立場」に関わらず、一方的な見方で決めつけたり、スタイルを押し付けたりする方が、少なからずいらっしゃるからです。


私自身は、聴覚に障害があろうと、何を「媒体」として、「どう生きたいか」は、当人が決めることであって、「他者が決めることではない」と思っています。


例えば、同じ   ”80㏈聴取可能”  の人が、補聴器をつけた場合に、
“40㏈の音 ”が聞き取れる人もいれば、 “60㏈からの音”が聞き取れる人もいます。



さらに、補聴器人工内耳をつけても、全く言葉が聞き取れないために、「効果がない」と判断着けない人もいますし、
音は聞こえても「自分は補聴器をつけない。声も出さない。ろう者として生きたい」と考える人もいます。


おまけに、100年程前の日本では、手話は、音声言語よりも「文法的に劣ったもの」と見なされ、「手話は、日本語獲得の妨げになる」からと、手話が禁止され「口話・発声ができる聴覚障害」が高く評価されていた時代がありました。
このような歴史的背景が、後の時代にも影響を及ぼし、「手話」が得意な人もいれば、「手話」は使用せず「聴覚活用+口話」を用いる人もいます。

つまり、 聴覚障害者 一括りにしても、
個々の障害の程度によって、 できないこと  、 難しいこと が数多くありますし、聴力口話発音、手話の技術…、それらの「技術やチカラ」は、十人十色なのです。



では、それらの「技術やチカラ」は、当人の「人間性」「魅力」比例する…でしょうか?私は、しないと考えます。

手話を使って「聞こえる人たち」とコミュニケーションをとる人もいるし、日本語が苦手でも絵などで自分を表現する方もいる…
その人たちは、みんな「魅力的 !!」だからです。

*興味・関心がありましたら、こちらのサイトもご覧ください。
働くろう者を訪ねて 齋藤陽道  https://co-coco.jp/series/hataraku/



しかし…


「聞こえる人たち」に、一方的な見方をしないでほしい!
と思いはしますが、
世間では、服装や髪型など目・耳にしたものや声や話し方、立ち振る舞いなどの行動など、「個々から表現されたもの」は、他者から「イメージ」「判断」する材料・要素でもあります。


例えば…
「声が高い → 子ども、幼いかんじ」
「服装が乱れている→おおざっぱ?、だらしない人?」
というような事柄が挙げられます。


それゆえ「聞こえる人たち」が持つ、聴覚障害者への固定しがちなイメージを、全て払拭することは難しいし、そのことを、私たち聴覚障害者自身念頭に置いておく必要があると思います。


「聞こえない人」は、聞こえる世界知りません。
同じように「聞こえる人たち」も、「我々は ”聞こえない・聞こえにくい世界“ のことを知らないよね…」そう思ってもらえたら、同等?公平?かな…なんて、考えるのです。


先にも述べましたが、聴覚障害者にも様々なタイプの人がおり、必要とする支援は、千差万別です。だからこそ、私は、当事者自身が、自分のことを他者に説明するアピール(表現)する力を身に着ける必要があると考えます。


それは、単に説明するだけでなく、他者意識こうしたら分かりやすいかな、伝わるかなの視点をもって伝えることが重要になり、
「聞こえる人たち」にも、興味を持ってもらえるようなアピールが出来たらステキだと思うし、よりよい関係性が築ける一歩になるのではと思います。


様々なところで目にすることも多くなりましたが、自分の障害や望む支援などを記した「ガイドブック」「ハンドブック」「取り扱い説明書(トリセツ)」などを作成し、伝えるといった方法があります。
私も、大学生時代に「トリセツ」(自分のために!!)を作成しましたので、興味・関心がありましたら、ご覧いただけますと幸いです。(”トリセツ”に対する他者レビューについては、また別記事で…)

My personality Guidebook(トリセツ)

【さっぽろ子どもの聞こえ相談ネットワークをつくる会
【 難聴について周りの人へ説明する資料】


今回、このあたりで…
読んでいただき、ありがとうございました。