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デジタル庁がまた微妙なやらかしをしていた件で

 面倒な出張中に、関係先のシンクタンク所属研究者や霞ヶ関現役の皆さんから「またデジタル庁がやらかして萎える」とのグループ投稿があり、何事が起きたのか、銃乱射でもされたのかと期待して見物に行ったら、唐澤俊輔さんのツイートのことでした。


デジタル庁で60代で職員でガラケー使っててSlackで連絡を取り合わなければいけない職責のある人って、ほぼ名指しですよね、これ。

 うーん、この…。もちろん、私などは連絡が来て観に行って即「アチャー」と思うわけですが、世間的にはヒロイックな話題と扱われて、2万6千もいいねがつけられています。馬鹿しかいませんでした。唐澤さん、そういうのに囲まれて、さぞ承認欲求が満たされたでしょう…。

 Slackはセールスフォースと一緒になりましたので、米系資本です。単純に、セールスフォースがアカンという話ではありません。

 ただ、働いている側や、デジタル庁に協力したり、期待して政策調整をする側は当然のことながら違う受け止め方をします。

 デジタル庁(かその周辺)で職員をしてSlackでの連絡事項があり、ガラケー使ってる60代って、この内容が事実であるならば、名指しも同然です。組織づくりのプロでもこういうことが起きちゃうんですね。

 しかも「僕らは変われる」とポジティブにSlack使ってることを誇示してるわけで、まあ要するにいままでの霞ヶ関文化(良い面も悪い面もあるでしょうが)をデジタル庁が変えてやるぜという意味合いまで込めてあります。つまりは、霞が関で働いてきた人を下に見ているわけですよ。たかがツールを使う使わないぐらいでしかない話で…。

 もっと言えば、Slackなどツールでしかないためお役所のワーキンググループではデジタル庁以外でも普通に皆さんさまざまなツール類はお使いになられますし、最近では逆に某国とのやり取りではSlackやZoom、TikTokなどはセキュリティ面から利用禁止の通達が出ています。何か具体的に駄目だという話ではなく、公的な業務での連絡においては、認証が行われないアプリやツールの利用は適切ではないということです。

 先日も、どこかの大臣さんがTikTokを使うと言い始めて官邸が真っ青になって羽交い絞めにして話が無かったことになったのは記憶に新しいところですが、世の中やればいいってものではないのです。

 日本の役所にとってみれば、一般論として、海外にサーバーのある外資系の便利ツールを安易に行政情報のやり取りや広報その他公務で使うことは本当なら戒めねばならないうえ、具体的にどんなツールを使っているのかはあまり公言しないのが望ましいとすべきところです。にもかかわらず、デジタル庁の人事・組織開発を担うと標榜している人物がガッツリ喋っちゃってるんですよね。

 熱意は認めるし、デジタル庁の意義である霞が関のICT方面の受発注を取り仕切る目標には敬意をもっていますが、霞が関の仕事の進め方を合理的に改革していく必要も承知したうえで、このあまりのノリの軽さに失望さえも感じます。あなたがた、現業官庁ですよ。

 他方で、国家公務員法に乗っかるセキュリティクリアランスもやるよという話になれば、デジタル庁もまた、枢要なポジションに来ることになります。その準備のためにも、雛壇ができるような会議が日中何個も続いて国会対応や資料整理に追われて徹夜するような仕事の仕方では駄目だという問題意識は良く分かります。

 突き詰めれば、デジタル庁に限らず霞が関改革で働き方の改善のためには各位の給与をもう少し引き上げなければなりません。さもなければ、今回のようにまともな人が集まらないでしょう。また、各省庁が行うべき仕事に比べて人員が不足した結果、人事ローテーションを回すごとに疲弊して業務が劣化をしていく陥穽に対して技術やサービスを使ってどうにかしていかなければならないのもまた事実であります。仕事量に比べて人が足らんのです。

 セールスフォース社は総務省の研究会で言うプラットフォーム事業者ではありませんが、それに準ずるサービスを提供しているのは外形的事実でもあるので、念のためURLを貼っておきます。

 唐澤さんの言いたいことも分かるんですが、もう少し言い方ややり方があるのではないかと思いました。もっとも、たぶんここで「危ないよ」と書いても改まらないでしょうし、いずれそう遠くない将来に大きな事故をやらかすことになるのではないかと予想していますが。

 ボク言いましたからね。


神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント