「トランプさん、最高裁門前払い」でなぜかトランプ支持の日本の陰謀論者がお通夜に
トランプさん、一発逆転を賭けた最高裁での審議は秒殺されて終わりました。
トランプさんサイドの申し立てを退ける、シンプルな決定文が涙を誘います。ペンシルバニア州ですでにこれですので、本来ならば「トランプさんの戦いはここで終わり」になります。
ところが、太平洋の向かい側にある島国では、俺たちのトランプ大統領の完全勝利を信じて疑わない陰謀脳の皆さんがたくさんおられます。
アメリカ大統領選挙は不正選挙だったのだ、という謎の主張と共に、不沈艦トランプ万歳を叫んでいる日本人がいまだに多いのには驚きます。
現実の見えてないっぷりを、よりによって毎日新聞に記事にされて馬鹿にされてしまうという屈辱を見て、何も思わないのでしょうか。それも「安倍晋三前首相を強く支持し、右派メディアでもおなじみの顔ぶれ」との安倍シンパ評とともに作家の百田尚樹氏、ジャーナリストの門田隆将氏、編集者の有本香氏、政治評論家の加藤清隆氏と名指しで列挙されてしまう始末であります。
これ、フェイクニュースとか事実誤認などというレベルの話ではなく、同盟国アメリカで不正選挙があり、それをアメリカの司法が問題と認めないので、俺たちのトランプが得票率でも獲得選挙人でも勝っているはずなのに大統領退陣に追い込まれてしまった、という論調になるわけです。
しかし、実際には前田耕先生も解説しておられるように、トランプ政権で指名した最高裁判事3名も、トランプに不利な決定に対して異論（dissent）を出していません。つまりは、共和党による最高裁判事指名があったとしても、トランプさんに有利なように動かすことはできませんでした。
9人の判事のうち誰も、却下決定に対する反対意見を書いてません。トランプ指名の3人が動かなかったことにトランプは激怒してるでしょうね。
— 前田 耕 (Ko Maeda) (@MaedaPoliSci) December 8, 2020
この情勢でなお、我が国の陰謀論に染まった人たちは、不正選挙が暴かれてトランプ勝利になると信じておるのです…。
要は、そう思いたい人たち向けに、これらの「識者」はデマを流し続けている形になってしまうのですが、そればかりか、どういう理由か「さすがに不正選挙は認められていないでしょ」と現実的な話を普通にしている上念司さんや、KAZUYAさんなどの日本の民族保守論壇を担ってきた人たちにも噛みつき始めます。
その結果が、俺たちの鳥海不二夫せんせによる分析になるわけですが、ここで示される百田有本加藤門田VS上念KAZUYAケントギルバート各氏の客層二分の大論争は、単に「保守系シンパ」という枠組みではくくれない「陰謀論気味の勝ち組サイド」対「トランプ応援してたけど負けた現実は見ようサイド」の闘争へとつながっていきます。
ここで問題になるのは、彼らの教典になっているDHC系のYoutube番組を繰り返し視聴することによるフィルターバブルと、時事ニュースにトンデモが混ざって事実関係を確認することなしに信じ込むフェイクニュース問題とのダブルの効果が起きているように見えることです。
この手のネットニュース動画がガセネタ拡散の起点になって、陰謀論者の旗振り役になっているであろうことは何となく承知されてきた一方、今回のように民族保守がこぞって支持したトランプ大統領が再選されずに敗北というニュースが起きると「信じ切ってきた陰謀論的なフェイクニュース」と「目の前に起きた現実としてのバイデン勝利」が見事な不協和を起こし、上記のようなアメリカ現地の最高裁決定の文書を見てもなおトランプ大統領の勝利を信じる不思議な人たちが出てくるのです。
さらには、一定の割合でそういう陰謀を一度信じてしまうと、都合の悪い情報を否定するばかりか、さしたる根拠の乏しくなった不正選挙を信じ込んで思考を補強し、識者とその信者たちが世間から離陸、乖離していってしまう現象は今回非常に強く再現されたと思います。
これが、遠くにいる人たちであれば「ああ、そういう馬鹿な人たちを相手にそういう商売をしているのだな」で済むのですが、問題は、フェイクニュースを含め自分たちの党派性にとって都合の良い情報ばかりを流して信者を補強し続ける行動に出ることです。さらに、「ニュース女子」問題以降明るみに出ているように、一連の党派性を資金面で支援し続けているのは健康食品会社のDHC社であり、いわゆる表現・言論の自由の枠内を超えて煽動的な表現で続けていくならば結構面倒なことになっていくことでしょう。
現状では、Youtubeもファクトチェック機能を日本語では充実させておらず、野放しになっておるのもまあ仕方がないところではあるのですが、アメリカでも分断を煽る煽動的な動画についてはチャンネルごとBANされる状況にもなってきました。我が国でのサービスでそのような対応をされるべきかどうかは議論が分かれるところですが、ことここに及んで、いまだにトランプ勝利を主張する日本人がネットで随所に見られるというのは看過するべきことではないんじゃないのかなあと思う次第です。
神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント