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石黒謙吾さん絡みで起きてる出版編集界隈あるある(補記あり)

 すげえ限定的な界隈で揉め事が発生しています。

事実関係について

 どちらが白か黒かで判定するのも気が引けるところですが、第三者的に、当方が把握している経緯は以下の通りです。

・神田桂一さんと菊池良さんが執筆し15万部以上のベストセラーになった『「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら(もしそば)』(神田桂一、菊池良・著 宝島社・刊)の出版にあたって、石黒謙吾さんが企画を売り込んだのは事実。

・石黒謙吾さんが宝島社に提案して編集印税として3%を『もしそば』から得ていたのも事実。

・石黒謙吾さんが「(出版企画において)二番煎じをするべきではない」といって、類書のオファーをもらっていた神田さん菊池さんがこれを断っていたのも事実(ついでに「類書をどうしても出したいので神田さんを口説いて欲しい」と私のところにも打診があったりもした)。

・石黒謙吾さんの言う「神田くんが、版元と僕には何も言わずに、漫画雑誌で『もしそば』を原作とした連載漫画企画を持ち込んで進めていた」というのはおそらく誤認で、漫画原作を神田さんに頼む話があった際に、ヒット作から「この『もしそば』をフィーチャーに盛り込むのはどうか」という提案が漫画編集側から出たが、神田さんがやんわり断っていたのが真相です。

・石黒さんは「神田くんは<石黒さんや宝島はOKしている>旨の内容を伝えていた」とのことだが、一万歩譲って漫画企画に『もしそば』をフィーチャーする内容があったとしても、版元宝島社や石黒さんに利用許可的な筋を通すべき理由は無い。「宝島としては刊行物の無断二次的使用」? 何それ?

・石黒さんのnoteから金の貸し借りで泣いたのなんのという話が出てたように思いますが、消えていますね。武士の情けでスクショは蒸し返しませんが、石黒さんが当初に書いていた、神田さんがカネを借りに来て泣いた話は事実と異なり、石黒さんが神田さんに借金を申し込んで泣いたが断られたというのが真相ではないかと思います。石黒さんがカネを借りに来たので貸したという猛者も伝え聞いています(返済されたのかどうかは知らぬ)。

・そういえば、この『もしそば』オマージュ企画が扶桑社某誌に企画として挙がった際に、石黒さんが「聞いていない」とねじ込んできて面倒だった話は聞きました。石黒さんは一部の編集印税を受け取る立場であるだけで、著者ではないので版元含めそんな権利は無いという認識です。

出版でのゴロ行為について

 割と出版業界あるあるなんですが、石黒謙吾さんの今回の著書は、本人がよろしくないと言っていたはずの二番煎じを自力で達成した代物です。ゆえに、彼にカネがあるないにかかわらず、自らが生み出すきっかけを作った、神田さんや菊池さんらの手によるオリジナル『もしそば』に引っ掛けて炎上商法でもやろうとしていたのであればまあ分からんでもありません。頑張って売ってください。

 また、カネの話はただでさえ紙の本が売れなくなり、電子書籍も広告が行き届かないとビタイチ動かない時代に企画提案で食っていく編集者にとってはまさに冬の時代で、ウェブに流れなかった人(ウェブ系サイトからお声もかからない人を含む)が業界でやっていけなくなっているのも事実です。

 さらに、ネットニュース界隈もコロナ禍による巣ごもり需要がなくなってバブル崩壊し、PVも広告単価も極めて厳しい状況の中で身売りが相次いでいるのもまた実相でありまして、書き方に芸があるか、売れる企画を自前で持っている編集者やライターさん以外は存在し続けること自体が厳しくなっています。

 その意味では、石黒謙吾さんにとってもラストチャンスに近い状態なのかもしれず、いろいろと焦ったにせよ、編集者が良くやりがちな「この企画は俺のものだ」とか「囲ったライターに仕事を回してやる」みたいな態度に出ていたのだとしたらとても残念です。

得られる教訓について

 個人的には、本当に出版業界あるある過ぎて何も言えない展開ですが、ネットでバズって一山当てたいけど自分ではそういう企画を立てられないのでずっとTwitterに張り付いてバズった企画を見つけたら即出版オファーを出すタイプの編集者は案外危険なことはあるよと言いたい面はあります。

 中でも、業界あるあるとして次のことは山本家家伝として申し伝えておきます。

カネは貸すな ――貸すときは良いが、返してもらうときに関係にヒビが入る。特に借りに来る際の事情は訊くな。絶対に訊くな。訊いたらそんな状況の同業にカネを貸さなかった野暮と言われてダブルでダルい
契約はちゃんと巻いておけ ――後で言った言わないにならないよう、重要な権利関係はデジタルパブリッシングも含めて契約はちゃんと取ろう。また、共著での執筆やデータマン、リサーチを雇う際も契約に残しておこう
入金管理を徹底しろ ――弱小じゃないはずの版元でも、たまに印税をごまかしたり、つまんだりしてくる。掛け算間違えて書類送ってくる確信犯もいる。入った入金と売上冊数はチェックしよう
面倒くさければ税理士を雇え ――出納管理ができなくて潰れるライターさんは多数、月2万でも3万でもいいからちゃんと払って管理してもらおう
会社ではなく編集者にぶら下がれ ――本を出版するのは出版社(レーベル)だが、本を生み出すのは編集者で、できる編集者は出版社をホップする。持ち込みは特に、堅実に生み出し本を売ってくれる編集者に企画を持っていこう。信用できるのはたいてい組織ではなく人だよ
企画はパクられ上等で提案しよう ――ひとつの企画にこだわって何社も持ち込むのは無駄なので、どんどん企画を立てよう。パクられたら笑っていよう、ただし企画をパクった版元と編集者は覚えておこう
同業の横のつながりを持とう ――だいたい同じような悩みを抱えている同業同士でつるんでおくと、地雷版元や爆裂ウェブメディア、畜生編集者の情報は誰かしら知っている。依頼されるときや企画を持ち込むときは、あの人は大丈夫かと聞いておくのも手

 画像はAIが考えた『穏やかな口調で世間知らずな才能ある若者を弄ぶ初老の出版業界人』です。

 こちらからは以上です。

(補記 10:42) 石黒謙吾さんについて、関係先より真偽不明のタレコミもいくつか頂戴しましたが、個人的に石黒謙吾さんとは深い関係になく、石黒さん叩きをしたいわけではないのでいったんスルーします。

 また、ここでいうゴロ行為とは、別段企画の持ち込みをしただけで編集印税をもらう編集者のことを言っているわけではありません。本を出したい側が各社の編集者に当たったり持ち込んだりするのが大変な場合は特に、身の回りのフリーの編集者に企画相談をするのはよくあることですし、編集部などに掛け合ったフリーの編集者がタダ働きをしろというわけでもありません。当然ですね。

 問題となるのは、石黒さんが「二番煎じは良くない」と話していたにも関わらず、自力で明らかな二番煎じというかパクリ本企画を通して出版に漕ぎ着けている件と、編集印税の扱いであって著者ではない(はず)の石黒さんが権利を主張する可能ような二次利用を持ち出して『もしそば』企画を自分の手持ちにしようとしていた件です。

 ただ、どこの出版社界隈やラノベレーベルなどでも正直あるあるだし、通常であれば、そんなものは流しておけばよい(二度と仕事を振らなければよい)し、カネに詰まっている話も一般的にはその界隈で仕事が成り立っていないか、何らかの個人的な理由で経済的に行き詰まったかです。こういうのは、事情を聴いてしまうと「あいつは俺を助けなかった」と公言され面倒なことになるので、借金の相談は先方の状況を尋ねずにその場で断るのが正解だと思います。これは自分がカネを持っているか、その人と親しいかどうかの問題では無くです。

 それでも人間、人生いろいろありますから、どうしてもカネに詰まったり、トラブルに巻き込まれてどうしようもなくなるケースがあります。そういう場合は、カネを借りるのではなく、企画を提案して、持ち込んだり実現させようとしたりするにあたって、仕事を増やすことを考えるべきです。無い信用でカネを借りるのは落ちていくだけですが、エンジン噴かせてもっと多くの仕事を推進させられれば仕事をしながら自然とカネが回っていくようになります。

 また、ライターに加えてライトノベルやなろう系で一本当たって仕事(本業)を辞めた人が作家として成り立たず一気にカネに詰まり、この手のゴロに引っかかることが多くあります。引っかかった後で相談されても権利は取られてるわ本人も煮詰まって作家性が曇って筆が進まないわでいいことがありません。何より本業は大事に持ちつつ余技で書き続けることをお薦めします。最近は、ソーシャルゲーム向けのライティングの仕事も減ってしまったので、困った人を一時的に押し込んで凌いでもらう場所が無くなりつつあるのも事実ではないかと思います。


神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント