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短編小説集

99
私の書き下ろした短編をまとめたものになります。
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#毎日note

静 霧一 『空の舞姫』

「―――痛っ!」  私は挫いた足首に顔を歪ませる。  左足を使って恐る恐る床に座ると、私は…

57

静 霧一 『愛Qと算盤』

  「57826」  緑色の数字がブザーの音ともに、黒い画面に表示された。  私は即座に頭の中…

55

静 霧一 『水天一碧』

(序)   冷たい水の中に溺れてゆく。  不思議と、苦しいとは感じなかった。  むしろ「あぁ…

45

静 霧一 『朝と踊る』

   凍りついた夜が溶けていき、地平線の彼方が青と赤に滲んでいく。  私はその様子を眺めな…

55

静 霧一 『眩暈』

   真っ暗な部屋の中に、ポツンと僕だけがいた。  カーテンの微かな隙間から、外の光が漏れ…

64

静 霧一 『青いベランダの食卓』

 淡く白い温かな光が、私の瞼の裏を照らす。  リビングの窓が少しばかり開いていて、そこか…

50

静 霧一 『棋譜の庭にて、修羅と花束』

  「今日も一局、お願いしますねアメリアさん」 「ええ、いいですともカーミラさん」  草木の生い茂る庭に、白いテーブルが一つ置いてある。  その上には、白と黒で整えられたチェス盤と、白い丸椅子に座り向かい合う老婆が2人いた。  赤髪のアメリアと白髪のカーミラ。  春の風が2人の艶やかな髪を撫で、白色の淡い光がチェス盤を照らす。  時折、木々の葉っぱが風で揺れる。揺れた葉っぱがぷつりと一枚、風に乗って待ったかと思うと、それはチェス盤の上にひらりと一枚落ちた。  かれこれ、

静 霧一 『orion』

「ねぇ、オリオン座ってどれ?」 「あれだよ。あの砂時計みたいな形の星座」  僕は茜が指を…

51

静 霧一 『私は不器用な青色と生きていく』

 私は横断歩道の前で突っ立っていた。  私の目の前を傘をさした大人たちが通り過ぎていくが…

52

静 霧一『クリームみたいに愛が溶けていく』

 私はいつものようにベランダに出ると、青い柵にもたれながら煙草を咥えた。  すでに街は茜…

45

静 霧一 『優しい彗星』

 助手席で、君はすうすうと寝息を立てながら眠っている。  ときたま差し込む月光の光に、君…

41

静 霧一 『幽霊東京』

 もう1年も前のことだ。  頭の上に糸が見え始めたのは。  糸が見え始めた直後は、その鬱陶…

49

静 霧一 『ねむるまち』

 乱れたシーツの上で、私は彼の残した煙草を咥え、彼からもらったライターで火を灯した。  …

33

静 霧一 『真っ白』

“大好きなあなたへ  夏の茹だるような暑さが恋しい季節となりました。  明日の天気予報は可愛らしい雪だるまが雪予報を知らせています。  日に日に、お日様を見ることが少なくなりました。  あなたを考える夜が少しづつ増えています。  海の向こうにいるあなたは、夢を追えていますか?  私はそんなあなたの背中が大好きでした。  お返事待っています。  あなたを愛する私より"  真っ白な手紙に、柔らかく、丁寧に言葉を紡ぐ。  それを白い封筒に入れ、糊で封をした。  ふと、手紙