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雪をめくる

雪をめくる
めくるたび
次こそは
まっさらな
僕が現れるのでは
無いかと
期待している

雪をめくり
その下に
地面を這う
血管が
光を放つたび
まっさらな
僕が
真っ直ぐに
僕を見つめているのを
期待している

何者をも反射せず
無限大の広さを
携えた
まっさらな
僕が現れて
使い古された
僕と交代する

使い古された
僕は
分厚い雪を
被せられ
暖かくも
冷たくも無く
「もしや
かまくらというのは
こういうものか」
と思う間も無く
境界線を
失い
深い安堵の中
眠りにつく

こっちかな
こっちだよ
こっちかな
こっちだよ

いつか
屋根の上で会いましょう
いつか
田んぼの畦で会いましょう
いつか
鉄塔の梯子で会いましょう

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