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うさぎのがくそうや 【63/1000*絵本】

うさぎとがくそうという取り合わせがいいなと思って選んだ絵本。

「うさぎのがくそうや」道野 真菜(文)、とうもり ゆみ(絵)

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【内容】
ここは、森のおくにある、うさぎのがくそうやです。うさぎは、動物たちの大切な絵に、ぴったりのがくぶちを作ってあげるのが仕事です。冬がもうすぐやってくるという、ある日、人間の男の子が、こわれた絵をもってやってきます―。「うちは、がくそうやです。がくぶちは作れても、絵は直せません」うさぎはそういって、ことわるのですが―。

【感想】
うわぁ、素敵な絵本に出会えた!これは、マジにマジに素敵な絵本。大事なことなので二度言いましたよ。これまで約60冊ほど読んだわけですが、友人の推薦本とかお気に入りを除いて、この絵本に出会えたのは良かったなと。

絵が水彩で描かれていてすごくやわからく丁寧に描かれている。そしてテキストの入れ方もやはりきれい。明朝体の選び方も入れ方も品がある。
これまでも幾度となく書きましたが、文字の入れ方がまずい絵本は、個人的にはアウトだと思っています。そう、世界観がぶち壊しになるから。でも今回の絵本は、全体的にとてもまとまっていて細部まで品がある。

さて、ストーリーがこれまた素敵です。何の変哲もないようなやりとりで進むのだが、うさぎの額装やさんの仕事ぶりの描き方がまたいい。額装をつくるときに、絵の心の声を聴くことからはじめる。そして嗅覚や全ての感覚を存分に働かせて想像していき、その絵にぴったりの額装をつくる。依頼主の動物もみんな大喜び。

絵自体も大事だけれど、絵を入れる額装も一体でアートなんだな。美術館で絵を見る時に、額装にも注目してみたいと思った。

冬眠の前に人間の男の子が持ってきた依頼は、絵さえも割れていて直るかどうかもわからず、すごく時間も労力もかかる。するとそれまで依頼していい額装で喜んだ動物さんが、うさぎさんが困っていることを聞いて手伝いにやってきてくれ、みんなで工夫して難しい修復も完了させるところがまた感動。

誰かのために、誰かが喜んでくれるための仕事をするところは本当に学びでもある。そして助け合いの精神なども表現してある。大人向きと限定する必要はないけれど、大人が楽しめる絵本だと思います。

【絵本のキーワード】
うさぎ 額装 職人技 丁寧 品がある 感動 助け合い 想像力 水彩

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