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くうき 【28/1000*絵本】

まどみちおさんの名前は知っていたので選んだ絵本。

「くうき」まど みちお(詩)、ささめや ゆき(イラスト) 

【内容】
まどさんは言う。「『永遠』というものを言おうとしたとき、どう言えば『永遠』が言えるのか」と。「どう言っても、どう描いても、言わないこととおなじようなものかもしれないんだけれども…、それでも、言ってみたいと思うんです」そんな詩人の想いを、画家がうけとめ、一冊の絵本となって届けられた、永遠へとつながる深呼吸…。

【感想】
イラストはクレヨン画。その中にまどさんの詩がちりばめられている感じ。場所によっては、文字がよみづらい。イラストの中に詩を溶け込ませたい意図もあるだろうけど、テキストの識別がしにくくなるなら、あえてイラストの色の薄いところに文字を配置してほしかった。

空気が循環すること、ひいては地球環境のことまでにつながるようなイメージでした。普段何も考えずに空気を吸って生きている人間たちは、生かされているということを意識する詩。そして自然をたいせつにしていかないと、わたしたちは生きていけない。今を見つめ反省し、未来のありかたを考えさせられる絵本。

【絵本のキーワード】
空気 生きる 自然 人間 エゴ 誰かのために

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まどさんの詩を読んだとき、すぐに頭の中に浮かんだのが、谷川俊太郎さんの詩だ。同じ匂いがする詩のイメージ。

「朝のリレー」 谷川俊太郎
 
 カムチャッカの若者が
 きりんの夢を見ているとき
 メキシコの娘は
 朝もやの中でバスを待っている
 ニューヨークの少女が
 ほほえみながら寝がえりをうつとき
 ローマの少年は
 柱頭を染める朝陽にウインクする
 この地球で
 いつもどこかで朝がはじまっている

 ぼくらは朝をリレーするのだ
 経度から経度へと
 そうしていわば交換で地球を守る
 眠る前のひととき耳をすますと
 どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
 それはあなたの送った朝を
 誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

CMを生で見れたことはなかった気がするが、ネスカフェのこのスクリーンセーバーをずっと入れていた。それほどまでお気に入りだった。きれいな空ときれいな詩。

乗り物に乗っていて、外をボーっと眺め、ふとした瞬間とかに違う国へ思いをはせるきっかけとなった詩。あまり海外旅行欲もないんだけれど、どっかに意識を飛ばし、想像してみるのはおもしろい。

自分の生きているところとは違った国で、ひとびとが息づき、暮らしている。それは楽しいことばかりではないかもしれない。けれど、きっと懸命に生きている。

そんなことを思った夏の日。

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