レース模様の図書室|くるはらきみ様のご紹介
くるはらきみ Kimi Kuruhara | 画家・人形作家 →HP
東京生まれ。多摩美術大学油画専攻卒業。四谷シモン氏や土井典氏の人形作品に大学生の時出会い、人形を独自に作り始めました。卒業後は建築設計の仕事などに携わっておりましたが、2000年に長野県に移住して以降は、自然に囲まれながら絵画と人形の制作に専念しています。1999年「新世紀人形展」入賞。
[個展]2002年「サンクチュアリ」(ギャラリーノンク・プラッツ)にはじまり、以後数年おきに個展を開催。2015年「子供王と影/コドモオオトカゲ」(ビリケンギャラリー)以後、毎年個展開催。グループ展等、多数。『The guide artists(スペイン)』2018年8月号 表紙、記事にて作品掲載。
作家名|くるはらきみ
作品名|調べもの
油彩・キャンバス
2020年(新作)
作品サイズ|22cm×22cm
アクリル板入り額込みサイズ|34.5cm×34.5cm×5.5cm
レース模様の図書室でレースの衣装を纏った小さな人が辞書でレースの意味を検索しています。
植物が生い茂る森から、書物の森へ——絵筆をたずさえ、妖精たちの観察者である画家が今回分け入ったのは、書物ひしめくレース模様の図書室。書物の精が静かにページをめくる音に耳を澄まします。
かすかに揺れるチュールレースの奥から聞こえてきたのは、ふたりの少女の囁き。知的好奇心が旺盛な少女たちは、辞書や百科事典が大好き。妖精の王国で編纂された厚い一冊を丹念にめくりながら、「調べもの」をしています。
——と、少女たちと目が合いました。どうやら、きみ様の視線に気づいたようです。少しの驚きを湛えた美しい瞳は、すぐに、懐かしい人に再会した安堵の趣きへ。
でも皆様、書物の精が私たちの前に、こんな風に姿を表してくれるとはゆめゆめ思わないように。やさしい視線と絵筆持つ画家のみが、妖精の世界への立ち入りを許されているのですから——
革で装丁された重厚な書物の風合い豊かな額装も魅力。きみ様のお陰で、私たちは彼女たちの存在を知ることができるのです。
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作家名|くるはらきみ
作品名|春の扉
油彩・キャンバス
2020年(新作)
作品サイズ|16cm×10cm
アクリル板入り額込みサイズ|21cm×14cm×2.5cm
山国の凍てつく冬の景色は閉じた本みたい。春は色とりどりの絵本を開く様にたちどころに、花々の咲く景色を見せてくれる。
冬の重い扉がひらいて、書物の王国にも春がやってきました。レース飾りのある春色のドレスに身を包み、頁からもれくる春の匂いを胸いっぱい吸い込んで、新しい一歩を踏み出すひとりの少女。
思索を深める冬の読書から、思索するゆえにより遠くまで羽ばたけることを、この先、少女は知ることでしょう——春の到来に寄せた、少女への祝福の一作。
幸いな者、完全な道を行き
主の律法を歩む人は。
詩篇119より(聖書協会共同訳・2018)
断面がまるでレースのよう——凝った額装も素敵です。
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作家名|くるはらきみ
作品名|Nos poupees
油彩・キャンバス
2019年(常設作品)
作品サイズ|22cm×22cm
アクリル板入り額込みサイズ|29cm×29cm×4cm
2019年2月開催「ミス・モーヴ、ビリチスに会いに行く」展にて発表された、ピエール・ルイス『ビリチスの歌』に捧げられた一作。古代ギリシャのアルカイックを目の覚める美しい色彩で描いた二人の少女の物語。お人形をはさんで、お人形然とした少女がシンメトリーに配された構成も、双子のように睦まじい関係が活写され、素敵です。
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以下にご紹介する3点は、2019年初夏に開催、霧とリボン企画 くるはらきみ & 影山多栄子 二人展《夏の夜》にて発表された作品群です。本展は、ベルリオーズ没後150周年記念として、ゴーティエ詩の歌曲集「夏の夜」に二人の作家がオマージュを捧げました。
作家名|くるはらきみ
作品名|窓辺の薔薇
油彩・キャンバス
2019年(常設作品)
作品サイズ|45.5cm×38cm
アクリル板入り額込みサイズ|57cm×50cm×5cm
第二曲「薔薇の精」をテーマにした作品は、自然の中に潜む幽けき香りを繊細につかまえて、美しい作品へと昇華するきみ様の真骨頂たる馨しき大作。一輪の赤薔薇の優美が冴える圧巻の一作は、飾る壁面を夢見る窓辺に一変させます。
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作家名|くるはらきみ
作品名|あの知られざる島
油彩・キャンバス
2019年(常設作品)
作品サイズ|22cm×22cm
アクリル板入り額込みサイズ|32cm×32cm×5cm
森や植物を多く描くきみ様が海を描いた珍らかな一作は、第六曲「あの知られざる島」がテーマ。よそ風と潮の香りが渡るブルーからグリーンへの瑞々しい諧調がキャンバスを超えて、私たちを「知られざる島」へ連れて行ってくれます。展覧会のメイン・ヴィジュアルを飾った作品です。
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作家名|くるはらきみ
作品名|水夫の死
油彩・キャンバス
2019年(常設作品)
作品サイズ|27cm×21cm
アクリル板入り額込みサイズ|41.5cm×36.5cm×5cm
価格|税込110,000円
天使と共に空高くのぼった恋人の死と反響するように、人魚と共に深い海の底へと沈む水夫の死——私たちの住む地上から望む、空と海。生の隣にある死、光の裏にある翳を、空と海の青に託して語る、きみ様の詩情あふれる画業。水底に沈みゆく水の動きを写した額装も見所です。
ここオンライン・ギャラリー「Mauve Cabinet」は、いつでも好きな時に好きなだけ、作家さまの作品を鑑賞できる場所。ぜひまた、きみ様のコーナーに遊びにいらして下さいネ!
★作品の色味はできる限り原画に近づけておりますが、ご覧頂く環境によって見えは変化します。ご了承頂けましたら幸いです。
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