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くるはらきみ個展《ヒルデガルト点描》|自然の喜び

 どこかから、にぎやかな気配がする。
 自然の恵みが近づいてくる。
 彼らはヒルデガルトゆかりのハーブにどうもよく似ているようだ。


くるはらきみ個展《ヒルデガルト点描》
会場風景(以下同)

 陽の光をいっぱいに受けて、花咲く君はカレンデュラ。天に向かって伸びるように逆立つ赤毛は、太陽に愛された証。

 身体は小さいけれど存在感はとびきり。鮮やかなカラーは目に眩しく、シックな黒にもよく映えている。

 優しい面差しながらも、瞳には意志の強さがにじんでいる。君からはそう、いつもあたたかい匂いがする。傷ついた体も心も癒してくれる、頼れる存在。

 太陽を愛し、太陽に愛された、自然の申し子。叶うなら、いつも君のそばにいたい。

 洗練された佇まい。穏やかさを湛えた透き通った緑の瞳が、優しい顔立ちの中で印象的にきらめいている。だが、よく見るとその瞳はあなたの心の奥を見透かしているかもしれない。落着いた外見に反して万能の力を隠し持つワームウッド。その魅力は未知数である。

 キャスケットから覗く緑の巻き毛はどこか蠱惑的だ。決して派手な外見ではないのに、思わず目を奪われてしまう。涼しい顔でひっそりと役目を果たす、隠れた実力者。美しく謎めいた君を、いつまでも眺めていたい。

 ふんわりとした柔らかな魅力を湛えた君は、陽の光を浴びてすくすくと伸びた双葉も誇らしげなフェンネル。黄金色の髪が風を受けて揺れると、見る者にまでその涼やかさが伝わるよう。

 純白のドレスに映える精巧な刺繍は、作家自身によるもの。愛情がたっぷりと込められたドレスを身にまとって、嬉しそうに微笑む姿はひときわ愛らしい。このまま、ここで、君と風を感じていたい。

 三者三様の個性で私たちを魅了するハーブたち。
 くるはらきみの作品にふれれば、自然がいつもと違った表情を見せてくれる。

会場風景|霧とリボン

くるはらきみ|画家・人形作家 →Twitter
東京生れ。幼い頃より自然のある場所に憧れる。大学では油彩を専攻しながら独学で人形制作を始める。2000年に長野県に移住。季節の移り変わりを身近に感じながら制作活動をしています。くるはらきみ & 影山多栄子二人展《夏の夜》(2019年・霧とリボン)ほか、個展、グループ展多数。

熊谷めぐみ|ヴィクトリア朝文学研究者 →Blog
『名探偵コナン』からシャーロック・ホームズにたどり着き、大学の授業でチャールズ・ディケンズの『互いの友』と運命の出会い。ヴィクトリア朝文学を中心としたイギリス文学の面白さに魅了される。会社員時代を経て大学院へ進み、現在はディケンズを研究する傍ら、その魅力を伝えるべく布教活動に励む。モーヴ街5番地、チャールズ・ディケンズ&ヴィクトリア朝文化研究室「サティス荘」の管理人の一人。



作品販売期間
【7月9日(土)23時~11日(月)23時】

作家名|くるはらきみ
作品名|カレンデュラ

油彩・キャンバス
作品サイズ|17.1cm×10.3cm
額込みサイズ|26.5cm×19.7cm
制作年|2022年(新作)

作家名|くるはらきみ
作品名|カレンデュラ(人形)

[ヘッド・手足]
オーブン陶土に油彩仕上げ
[ボディ]
木にミルクペイント仕上げ・モヘア・布
[スタンド]木
作品サイズ|人形身長36㎝
制作年|2022年(新作)
*オンラインショップに別ショットの画像を掲載しています。

作家名|くるはらきみ
作品名|ワームウッド

[ヘッド・手足]
オーブン陶土に油彩仕上げ
[ボディ]
木にミルクペイント仕上げ・モヘア・布
[スタンド]木
作品サイズ|身長40cm
制作年|2022年(新作)
*オンラインショップに別ショットの画像を掲載しています。

作家名|くるはらきみ
作品名|フェンネル

[人形]
オーブン陶土に油彩仕上げ・モヘア・布
[スタンド]木
作品サイズ|人形身長32㎝
制作年|2022年(新作)
*オンラインショップに別ショットの画像を掲載しています。

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