見出し画像

レース模様の図書室|横井まい子さまのご紹介

2004横井さま_TOP

横井まい子  Maiko Yokoi  | 画家 →HP
油彩、水彩、鉛筆など様々な技法で制作。植物や静物などから少年や少女の気配を見つけては描いています。2005年ギャラリー銀座フォレストにて初個展後、2006~2011年渋谷・マリアの心臓、2012年及び2015年甲府・アサヒギャラリーにて個展。2015年~大原・マリアの心臓、2016年~銀座・マリアの心臓にて作品を発表。

2004横井さま_01

00Lace_展示作品

作家名|横井まい子
作品名|菫色の煙

透明水彩絵の具・チタニウムホワイト顔料・メディウム・鉛筆・アイボリーケント
2020年(新作)
作品サイズ|25.3cm×19cm
アクリル板入り額込みサイズ|37.9cm×28.8cm

2004横井さま_08

大きな書架から取り出し、机に重ねた何冊もの本。
高まる好奇心と共に。
静かな図書室と最後に開かれたのは何時なのかわからない本の匂いと硬いページ。
少しめくると物語への関心は何処へやら、いつのまにか靄に紛れて、微睡み夢の世界に落ちてしまいます。
(なので、私は立ち読みが好きです。)

 落ち着きのある絢爛な油絵作品で知られる横井さまの水彩画は、知られざる名香のような存在です。どこからともなく漂ってきて、確かに存在するけれど、その実態がつかめない香りのように、少女という「幻想」を描き出します。

 トップノートは清廉な菫色のヴェール。図書室の空気を留めた淡やかなマチエールが心地よく頬を過ぎります。ヴェールをくぐった先、ミドルノートから現れるのは少女の微睡み。レース飾りや菫色の花々、蝶々などが少女を眠りの世界へと誘っています。そしてラストノートは物語が幾重にも重なる古い書物の群——

 こうして、夢の世界へと落ちてゆく少女の馨しいひとときは、私たちの胸のうちに一閃の鮮やかな記憶を残してゆきます。

2004横井さま_05

00Lace_展示作品

作家名|横井まい子
作品名|めくる頁

透明水彩絵の具・鉛筆・アイボリーケント
2020年(新作)
作品サイズ|12cm×17cm
アクリル板入り額込みサイズ|20.3cm×25.4cm

2004横井さま_07

繰り返し読みたくなる物語。
ページを捲ろうとすると、今年もツバメがやってきました。

 空気から、ふんわりとにじみ出たふたりの少女。あるいは、ひとりの少女のふたつの気配を描いた一枚なのかもしれません。空気を舞う絵筆に、少女への、あるいは少女時代への慈しみが込められているかのよう。

 季節がめぐるごと、ずっと大切にしてきた物語。優美なレースのひとひらが、めくろうとするページのひとひらに重なって——

2004横井さま_04

2004横井さま_06

00Lace_展示作品

2004横井さま_10

作家名|横井まい子
作品名|スミレ色の部屋
水彩絵の具・アイボリーケント紙
2018年(常設作品)
作品サイズ|19cm×27cm
アクリル板入り額込みサイズ|30.5cm×39.5cm

この展覧会にあてられた物語を読み、頭に浮かんだ少女たち。
三編みの練習をしたり、O・SA・GE ブローチを纏ってみたり。少女たちのレッスンは楽しみであり、理想を追う真剣勝負の時間でもあります。カケスの色が霧とリボンに合うと思い彼女らのお供に。

2004横井さま_09

 2018年開催の本展と同シリーズ企画、霧とリボン 或る日の少女たち企画展vol.1《三編みのレッスン》展にご出品頂いた、思い出深い一作。思い思いに三編みを編む少女たちを縫うように、刺繍された背もたれやカーテンの模様、窓枠などが過ってゆきます。面で重ねていった珍かな水彩のタッチも見所です。

 霧とリボンのラリエットのように首から垂らすとおさげになるアクセサリー「O・SA・GE ブローチ(Black)」も右端の宝石箱の近くに登場しています。

2004須川さま_06

 ここオンライン・ギャラリー「Mauve Cabinet」は、いつでも好きな時に好きなだけ、作家さまの作品を鑑賞できる場所。ぜひまた横井さまのコーナーに遊びにいらして下さいネ!

お花ラスト


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?