レース模様の図書室|合田ノブヨ様のご紹介
合田ノブヨ Nobuyo Goda| コラージュ作家 →Twitter
高校在学中、TVドラマの仕事で訪れたロンドンで、ヴィクトリア時代のクロモスに魅了されコラージュを制作。1992年作品を発表。以降ギャラリーや新宿伊勢丹等デパートでの展覧会、本の装画や雑誌、新聞の挿画等の仕事をしている。15年間活動を休止していたが、2017年より再開。画集は3冊出版されている。
作家名|合田ノブヨ
作品名|ケット・シー人形
モール・紙など
2020年(新作)
作品サイズ|全長約11.5cm
ケット・シーとは——
スコットランド、アイルランドに伝わる妖精。人語を喋り二足歩行が出来るが、普通の猫に紛れて暮らしている事もある。体は猫より大きい。王国があり、木の洞や廃墟に人間界と続く道をつくり出入りしている。長靴をはいた猫も、この妖精といわれている。
レース模様の図書室にやってきた妖精猫のケットちゃん。妖精譚の語り部が今回調合したのは、ノーブルな菫色と淡やかなアブサン色。繊細な色彩のグラデーションが伝えるのは、王国に流れる時間の不思議——
夕暮れ——丘に咲き乱れるすみれがいっせいに、香りをはなちます。だんだんと一面の空気が菫色を帯び、闇の到来に備えます。黒衣のケットちゃんは、夕暮れと闇の中間にいて、闇が家々まで入り込まないように見張る、黒衣の騎士だと言われています。
夜明け前——王国はアブサン酒の香りを闇に溶かして、夜明けが近いことを知らせます。角砂糖を通って一滴一滴、アブサンを白濁させるのは、銀色の時間の粒。ケットちゃんが手にしているのは、過ぎてしまった時間の結晶だと、言い伝えられています。
——妖精譚の美しい語りを目にすれば、たちまちそんな想像をしてみたくなります。
手染めしたモールの毛並みも大変美しいケットちゃんは、合田さまの手により、ひとつひとつ制作されています。色彩や表情などのニュアンスが全て異なる1点物。特別に調合した菫色とアブサン色のケットちゃん、頽廃が仄匂う王国からの妖精猫たちを、レース模様の図書室より、お届け致します。
ここオンライン・ギャラリー「Mauve Cabinet」は、いつでも好きな時に好きなだけ、作家さまの作品を鑑賞できる場所。ぜひまた、合田さまのケットちゃんコーナーに遊びにいらして下さいネ!
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