見出し画像

自分の痛みを認める~すべては「そこ」から始まる~

先日、『プリズン・サークル』という映画を観てきた。

日本で唯一、刑務所の中でTC(Therapeutic Community=回復共同体)と呼ばれるプログラムが導入されている、「島根あさひ社会復帰促進センター」を取材したドキュメンタリー。

TC(セラピューティック・コミュニティ)とは・・・
Therapeutic Communityの略。「治療共同体」と訳されることが多いが、日本語の「治療」は、医療的かつ固定した役割(医者―患者、治療者―被治療者)の印象が強いため、映画では「回復共同体」の訳語を当てたり、そのままTCと呼んだりしている。英国の精神病院で始まり、1960年代以降、米国や欧州各地に広まった。TCでは、依存症などの問題を症状と捉え、問題を抱える当事者を治療の主体とする。コミュニティ(共同体)が相互に影響を与え合い、新たな価値観や生き方を身につけること(ハビリテーション)によって、人間的成長を促す場とアプローチ。(『プリズン・サークル』公式HPより)

2年間密着したカメラは、窃盗や詐欺、強盗傷人、傷害致死などで服役する4人の若者たちが、新たな価値観や生き方を身につけていく姿を克明に描き出していく。

このTCプログラムでは、刑務所の中に民間の心理や福祉の専門家が入り、グループでの「対話」を通して、受刑者たちが自分や自分の罪を振り返っていく。

4人の若者が、少しずつ、回復へと変化していくプロセスに、心が震えた。


加害者こそ「安心できる場」で心のケアが必要

犯罪を犯したら、「罰」を与えられ、「罪」をつぐなっていく。

だけど、受刑者が本当の意味で自分の「罪」と向き合うために、今の社会が見落としている大切なものをこの映画は教えてくれてるなと感じた。

加害者もかつては被害者だった。

彼らが幼い頃に経験した貧困、いじめ、虐待、差別などなど。

話を聞くだけで、耳をふさぎたくなるような、壮絶な過去。

彼らはみんな、機能不全家族の中で育ち、小児期逆境体験(ACES)スコアもハイスコア。

画像1

TCプログラムでは、その幼い頃の「傷」にも目を背けず、向き合っていく。

私たちが自分の「傷」をなるべく見たくないように、その「傷」が深いければ深い人ほど、厳しい現実を生き抜くために、自分の感覚を麻痺させる。

痛み、悲しみ、恥辱や怒りといった感情。

自分では抱えきれず、外へと追いやったものを、自分の体へと戻していく作業。

何を表現しても安心・安全な空間で、受刑者たちはそれまで引き離してきた自分の感情を言葉にしていく。

それって私が受けたセラピーと同じ。

歪んでいた認知能力を、ていねいに取り戻していく。

「犯行当時の自分には戻りたくない。記憶を消したい」と、なかなか自分の「罪」を認められなかった受刑者が、

グループの中で自分のことを語り「痛み」にタッチしていくことで、少しずつ「自分が罪を犯した」という事実と責任も受け入れていくプロセスが心に残った。

本当の意味で、自分の人生に責任をもつためには、まずは安心できるあったかい場所で、自分の「痛み」をケアしなければならないんだな。

画像2


受刑者が語る話に、私のインナーチャイルドも刺激を受けた。

「こんなこと言うのは、恥ずかしいけど、ぼくは両親に抱きしめられた記憶がないから、

こうして人を目の前にすると、抱きしめられたい、ギューッとしてもらいたいと思ってしまう」という受刑中の青年。

あぁ、彼らは私と同じだと感じた。

私と変わらないのに、彼らは「犯罪者」とならざるを得なかった。

そんなのは悲し過ぎる。

彼らの問題は、「私たち」の問題でもある。


負の連鎖をストップさせるために、これから私ができることって何だろう?

・まずは、私自身が、自分に向き合い、自分の人生を生きること。

・そのプロセスをこうして発信していくこと。

・セラピストとして、関わる人たちのハートエデュケーション(=心の教育)に携わること。そして、それを広げていくこと。

・・・だろうなぁ。

画像3


あなただったら、「負の連鎖」を断ち切るために、今、何をしますか???


☆★☆

インナーチャイルドセラピー、体験セッションやっています。

詳細はこちらから







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?