劣等感は人生のスパイス

たくさん教えて、そのうちどれだけ生徒が頭の中に入れたか。百点満点のテストでそれを測り、成績をつける。黒板には、チョークでびっしりと字が埋まり、生徒はそれを必死にノートに写す。膨大な量の情報を垂れ流すので、百点を取ることなど、ほぼ不可能。九割以上覚えたら10をつけ、二割覚えられなかったら赤点をつける。

もうそんな風景は見飽きました。

教師は、何かのなりそこないが多いんです。学者になれなかったり、プロ選手になれなかったり。心のどこかに劣等感を隠しています。で、その反動で、マウント。自分は完全で、生徒は不完全、永久にダメ出しして、ずっと生徒の上に君臨し続けます。学生時代、スクールカーストの最下層にいて、権力など握ったことがなかったのに、急にセンセイと呼ばれ、権力を持ったと勘違いして、気持ちよくなっちゃったりして。

劣等感は誰もが抱えるもの。人生のスパイスのようなものです。劣等感というスパイスで、自分をプロデュースすればいいんです。劣等感は、理想の自分に対して持てば、成長するのですが、他人に対して持ってしまうと、卑屈になったり、攻撃したり、不幸へまっしぐら。

恐ろしいのは無意識の劣等感。自分を超えそうな生徒が現れると、ダメ出しのギアを上げて、潰しにかかります。そして、自分の優位を保とうとしてしまうんです。いらないプライドに毒された教師にありがちな過ち。

教師たるもの、自分を超える生徒を育ててこそ、本当の仕事をしたことになるはず。マウントしてる場合じゃありません。百点満点で減点するという発想を捨てて、ちょっとだけ教えたら、あとは見守る。生徒が足し算で百点を超えたり、掛け算で千点、いや一万点を超えちゃったりすることもあるかもしれません。そんな生徒を世に送り出すこととこそ、教育の醍醐味。

教師なんて、跳び箱の踏切台でいいんです。踏まれてなんぼ。しかし、踏まれて潰れてるようじゃいけません。

教え子たちよ、僕を踏み越えていけ。しかし、簡単ではないぞ。僕も日々成長してるからな。ははは。

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