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田舎暮らしで苦労していること#2<ひとり身の市民権・・・>

2年半徳島で過ごしたけれどいまだに慣れないことの1つは、「いいひとおらんのでーー??(結婚する予定はないのか?)」と聞かれること。東京で暮らしていたときは、私自身あんまり結婚というものに関心がなかったせいか周りの友人も男も女も結婚していたりいなかったりして、仕事の関係や友人の友人と知り合ったとしても結婚しているか?いないか?なんて聞かれることはなかった。徳島に戻ってきたのが31歳という年齢のせいか、徳島の文化なのか、それとも田舎ではどこでもあることなのか、「結婚しているの?」「いいひといないの?」と聞かれるのは日常茶飯事である。

うっかり足を踏み入れてはいけない

数ヶ月もしないうちに「女性が集まらないのでよかったら」と婚活パーティーのお誘いがあった。地域おこし協力隊という活動をしていることもあって、地元のお母さんたちがやっているから手伝いたい気持ちと、地域の方と関われるいい機会かもなんて気持ちで参加しちゃったら、あとで申し訳ない思いをすることになった。みんな本当に結婚を見据えた関係を求めて婚活パーティーに参加していたのだ。そりゃそうだ。婚活パーティーだもの。必要なのは生涯共に暮らしたい相手で、地元に住んでいる方々はみんな同世代の知り合いなんてとっくにいるんだ。
軽い気持ちで婚活パーティーに参加しちゃいけないんだということがよくわかった。経験って大事だな。これからはちゃんと断ろうと決めた。

笑顔でかわすことの弊害

初対面だろうとなんだろうと構わず「独身?」と聞かれるので、これは挨拶のようなものなんだろうと思って社交辞令でにこにこするようにしていたら、今度はお見合いの話を持ちかけられた。社会福祉の活動団体や、自治体の婚活支援事業なんかで婚活パーティーなど開催しているのだけれど、登録しているメンバーに合うような「いいひと」を見つけてお見合いを勧める「お世話役」と呼ばれる方がいる。普段は地域にいる婦人会や町内会で会うおかあさんの姿をしているが、実はその中に「お世話役」がいて(隠しているつもりはないんだけれど)、よく知れてくると「こういう人がいてね・・・」と写真の入った履歴書のようなものを渡してお見合いのお話をしてくる。今までそういうものを目にしたことがなかったので、年収や勤続年数、持ち家か賃貸かだけじゃなく、長男・次男や、親との同居、兄弟のことなど事細かに記入欄があるのが恐ろしく感じた。これこそ本当に結婚相手を求めている。
勧めてくれるのは地域でしょっちゅうお世話になっている方で、良かれと思って言ってくれているのもよく分かるので断ることは心苦しい面もあったけれど、前回の教訓があったのでしっかり断った。
すると、あなたはもう結婚を考えなければいけない年齢なんだとこんこんとお説教されてしまった。「10年若かったら、そうだね・・・と言えるけど、あなたはもうそんな年齢じゃない。やりたいことのためにがんばるのもいいけど、結婚して子どもを育てるという幸せを選ぶのもいいんじゃない」と優しく、でもきっぱりと言われた。

どうやらこれは・・・

このときに「結婚しなければいけない文化」というものがあるんだと認識した。結婚して子どもを産むことに向かって努力をしなければいけなくて、それには年齢制限がある。特に女性は限度があって、私はもうレッドゾーンに乗っかり始めている年齢だと思われているようだ。「何歳までには結婚したい」とか「行き遅れてるかも」なんて友人との会話に上がることはあるけど、こんなにも周りの人に説得されてまで結婚のことを考えなければならないことなんてなかった。
振り返ってよく考えてみたけど、そもそも私は「結婚したいのにできない」とか「出会いがない」なんて嘆いたこともない。強がりでもないと思う。
それなのに、「結婚できるように」お世話を焼こうとしてくれているのだ。

そんなにいけないことなんだろうか?

これは私が女だからなのか?と思っていたら、同じような境遇にいる男性がいた。「結婚したいのにできない」なんて言ったこともないのに、「がんばらなくちゃな」「婚活パーティーにでも参加してみたら」と同様の扱い。さらに男の人は「結婚してこそ一人前」とまで言われるそう。たしかに家族を養う稼ぎができるようになってこそ一家の主人(あるじ)という時代はあったのかもしれないけど、結婚していないから人として劣っているなんてことはないはずだ。

仲良くなろうとしてくれているのかな?

共通の話題がないからなのかな?とも考えてみた。だいたい30歳以上年齢が離れている人がほとんどだから、どこの病院がいいとか介護やお墓の話にはなかなか参加できない。だから、私の年齢で興味がありそうな当たり障りのなさそうな話題を選んでくれているのかもしれない。でも興味がないと伝えていても、結局その話になる。「いい子なのに、なんで見つからないんだろうねー」。

あなたのためを思って・・・だそう

気にしなきゃいいだけの話なんだろう。田舎の方が人との距離感が近いからなのかもしれない。都会でも同じように思われていたけど干渉されなかっただけなのかもしれない。でも、こんなに言われるものかな??公民館や地域行事の準備で集まったときに、初めて顔をあわせる人でも名前を名乗るより先に独身かどうかなんて聞かれるものなんだろうか?今の世の中の動きのように「セクハラ」だと言って相手を黙らせる方法もあるだろう。でも、良かれと思って言ってくれる人がほとんどだからもっといい方法があったら知りたいな。
とりあえず今は、「はぁ」とか「まぁ」とか「いやぁーそんなにしたいと思ってなくてー」「たのしいし幸せかんじてますー」とヘラヘラ答え続けるだけ。次の世代の方たちごめんなさい、まだもうちょっとこういうのは無くせそうにないです。努力は続けるつもりでいます。

需要あるよ!

逆に考えてみると、結婚したいなとか結婚しなきゃなと考えている方には田舎はいいかもしれない。色々気にかけてくれて、面倒もみてくれて、いいひとがいたら履歴書付きで紹介してくれるし、婚活にも誘ってくれて、どんなふうに選んだらいいかも教えてくれるから、とっても助かると思う。ちなみに田舎だけれど徳島県内にはいくつも結婚式場があって(徳島は昔から結婚式が派手な文化らしい)、海のそばもあれば山のなかもあり、もちろんチャペルのあるかわいい式場もある。旬の食材が豊富だから料理もおいしいし、伝統の阿波花火を打ち上げてくれるところもある。
もしかして私はお見合いして結婚するのが正解なのかな。


読んでくださってありがとうございます。精進料理がきっかけで移住したと言えるくらい精進料理の世界にはまっていますが、食べるものはなんでも好きです!四国は野菜に果物、お魚などおいしいものがたくさんあるので、食べものに使わせていただきたいと思っています。レポートします!