「ベルばらおじさん」のはなし(漫画業界のひみつ?①)
お世話になっている編集Iさんは、編集さんとしてベテラン中のベテランなので、さまざまな業界話を教えてくださいます。それが楽しくて打合せがどんどん長引いてしまうのですが、今日はIさんから聞いた興味深い話、「ベルばらおじさん」についてばらしてしまおうと思います。(勝手に)
バラはバラは~♪宝塚やアニメでもおなじみ、ベルサイユのばら。マリーアントワネットとオスカルのダブルヒロインが活躍する、絢爛豪華なフランス王宮&革命漫画ですよね。作者の池田理代子先生が高校生のころから構想を練っておられたという不朽の名作です。海外、フランスでも人気があり、池田先生はフランスより勲章を受章されています。そんな池田先生は、駆け出しのころに、講談社なかよし編集部にお見えになったことがあるそうです。
Iさん「講談社にベルばらおじさんっていう人がいてね…」
わたし「そ、それは…!まだ未完成の池田先生を育ててベルばらを描き上げるほどになさった、レジェンド編集さんのことですか⁉」
Iさん「それが…違うんだよ!!」
わたし「え~!!」
なんと、池田先生は投稿原稿として、ベルサイユのばらの原型の漫画をすでに描き上げて、掲載の相談をしに持ち込みに講談社にいらっしゃったそうなのです。
わたし「すごいじゃないですか!それが人気だったんですね!…あれ?でもたしかベルサイユのばらは、マーガレット…(集英社)」
Iさん「そうなんだよ」
わたし「どういうことですか???」
Iさん「そのベルサイユのばらの原型を持ち込み対応した編集が、こういう作風の作品は少女に受けないと言ってしまったので、池田先生は集英社に行ってしまったんだよ」
わたし「なんですって~~」
なんと、何十年も前、池田先生を逃してしまった編集さんがいらっしゃったそうなのです。金額にすると億単位の損失ではないかと思われます。
Iさん「だから、飲み会のたびに、その先輩に「ベルばらおじさん」って言うと、「そうだよ俺だよ…」って悲しむのがおもしろいんだよ」
わたし「…ははは…」
私がこの話から得られた教訓としては、すばらしい作品でも必ず編集さんの目に留まるとは限らないということでした。世の中ってわからないものですね…!
実際池田先生のお話でも集英社でベルばら連載開始のときにもストップがかかって、「絶対成功させます」と先生が宣言されたために、紙面に載ったそうですよね。その勇気と努力は、本当にすごいとしみじみしてしまいます。
以上、ヒミツの話?①でした。
またIさんに聞いた秘密のおはなし暴露していきたいと思います!
「ベルばらおじさん」同様に「本宮ひろ志おじさん」もいらっしゃったそうです!
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