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【内部通報制度】会社社長や幹部が主導・関与する法令違反行為に対処するには?

改正公益通報者保護法の施行に先立ち、事業者が法改正に適切に対応するための「指針」が公表されることになっています。

この「指針」について、2月22日、消費者庁に設置された「公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会」から、「指針(案)」および「指針の解説(案)(事業者が指針に沿った対応をとるにあたり参考となる考え方や、想定される具体的取組事項等を示す解説)」が公表されました。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/meeting_materials/assets/consumer_system_cms206_210219_03.pdf

会社社長や幹部が主導・関与する法令違反行為に対処するには?

この論点について、「指針(案)」および「指針の解説(案)」では、次のとおり述べられています。

■組織の長その他幹部からの独立性を確保する措置

〇指針(案)

事業者は、内部公益通報受付窓口に寄せられた内部公益通報に係る公益通報対応業務を行うに当たって、組織の長その他幹部に関係する事案については、これらの者からの独立性を確保する措置をとらなければならない。

〇指針の解説(案)(一部抜粋)

・組織の長その他幹部からの独立性(以下単に「独立性」という。)を確保する方法として、監査機関(監査役・監査等委員・監査委員等)も報告ラインに加える、これらの監査機関からモニタリングを受けながら公益通報対応業務を行う、といった方法が考えられる。

・単一の内部公益通報受付窓口を設ける場合には、それを経由する公益通報対応業務に独立性を持たせるほか、複数の窓口を設ける場合には、それらのうち少なくとも一つを経由する公益通報対応業務に独立性を持たせるなど、事業者の規模に応じた方法も考えられる。

■「指針(案)」および「指針の解説(案)」から検討すべき事項

会社社長や幹部が主導・関与する法令違反行為の場合、次の問題が懸念されます。
・通報者が内部通報窓口への通報を躊躇してしまう。
・内部受付業務従事者(内部窓口にて通報または相談を受け付ける者)が内部通報を受け付けたものの、会社社長や幹部が影響力を行使することで、受付後の調査業務従事者(通報対象事実に関する調査を行う者)や是正措置業務従事者(通報対象事実に関する是正措置を講じる者)による通報対応業務が適切に行えない。

したがって、会社社長や幹部が主導・関与する法令違反行為の場合には、
・内部受付業務従事者から監査機関(監査役・監査等委員・監査委員等)への報告を義務付ける。
・監査機関の主導のもと、調査や是正処置を講じる。
といった、通報者を保護しつつ、通報対応業務の独立性を確保するスキームの構築を検討すべきでしょう。

現時点の「指針(案)」および「指針の解説(案)」から、貴社の内部通報制度をブラッシュアップしていきましょう。

福田秀喜(行政書士福田法務事務所)

【追伸】

【改正公益通報者保護法】
内部通報制度の整備が必要な理由とは?


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