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【内部通報制度】内部受付業務従事者のためのチェックポイント

内部受付業務従事者(内部窓口にて通報または相談を受け付ける者)が内部通報を受け付ける際のチェックポイントについて、厚生労働省「パワーハラスメント対策導入マニュアル(第4版)」から考察していきます。

■相談対応のうまくいかなかった事例

ハラスメント相談窓口に、管理職の男性が青い顔をして訪ねてきました。
当該男性管理職は、部下3人が業務時間中にひそひそと自分の悪口を話していることを小耳にはさみ、自分が仕事を頼むと

「今、必要ですか?今じゃなくてもいいんじゃないですか」

と言ったり、舌打ちをしたりもします。
外出先から電話をしても、業務が忙しいことを理由に電話口にでないことさえあるということでした。
相談担当者は、急ぎ対応した方が良いと考え、相談者に了解を得ることなく、該当の部下3人に事実確認を行ったところ、あっという間に職場中に当該管理職が相談に行ったことが知られてしまい、問題がこじれてしまいました。

■内部受付業務従事者の対応の問題点

「相談担当者は、急ぎ対応した方が良いと考え相談者に了解を得ることなく、該当の部下3人に事実確認を行った」

この対応から次の問題点が見えてきます。

・相談対応の全体の流れが説明できていない。
・相談内容の秘密が守られていない。
・相談者の意向が確認できていない。

■相談対応の全体の流れを説明する。

内部通報制度においては、次の業務従事者を配置することが求められています。
1.内部受付業務従事者(内部窓口にて通報または相談を受け付ける者)
2.調査業務従事者(通報対象事実に関する調査を行う者)
3.是正措置業務従事者(通報対象事実に関する是正措置等を講じる者)

上記3つの業務従事者の役割を1人の業務従事者が兼務するのか、内部受付業務従事者が聴取した内容を調査業務従事者や是正措置業務従事者と共有し、調査や是正措置を講じるのかといった、相談対応の全体の流れを説明し、事前に通報者の了解を得ておくことが、通報者に安心感を与えることになります。

■相談内容の秘密は守られることを説明する。

内部受付業務従事者は、相談者のプライバシーを守ること、相談者の了解なく行為者に話をしないこと、相談によって社内で不利益な取扱いを受けないことを、事前に丁寧に説明することが、通報者に安心感を与えることになります。

■相談者の意向を尊重する。

本件では、

「相談担当者は、急ぎ対応した方が良いと考え、相談者に了解を得ることなく、該当の部下3人に事実確認を行った」

という、相談担当者の思い込み対応により、問題をこじらせてしまいました。

・行為者や他従業員から事情聴取を行い、行為者の問題行為の是正を希望するのか?
・相談者や行為者の勤務地や勤務部署の変更を希望するのか?
・部下とのコミュニケーション方法について、アドバイスを教示してほしいのか?

相談者の意向を聴き取ったうえで、意向に沿った対応することを心掛けましょう。

福田秀喜(行政書士福田法務事務所)
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【追伸】

「改正公益通報者保護法」に対応した
「内部通報制度規程(雛形)」をご提供します。
 ⇒ https://kinyutorihiki.com/naibutuuhou/

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