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【朔 #116】時代という嫦娥

 ついに小笠原鳥類『吉岡実を読め!』(ライトバース出版)が届く。
 実は、吉岡実の詩は好きな方だと思うのだが、詰め込み感があってうまく読み進められない。(ベクトルを分解したら面倒臭い)しかし、先般のトークイベントで野村喜和夫さんが「吉岡実のデトックス」と言い、それに成功しているらしい。吉岡実と和解できるかもしれないと購入。どうなるか。
 ひとまず言えるのは、吉岡実の句の酷さ。興醒めした。凡句の極みだ。詩人が出す句集に碌なものがないのは常だが(もちろん、余技でもない本格的なものを提出されている方々もいる。当然いる)、吉岡実ともあろう人が……。大人しく第一頁から読み始める。読了後、また。
 詩が一篇完成。
 至急電は送れ。
 ウナデンと読むのよ、
 と囁いたのは時代という嫦娥。
 そして、三宮に発生する吉岡実の気配。
 桂の木の、軒先を渡る猿、そのふぐり、オオマシラノフグリ。

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