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シバかれてもいい #アベフトシ墓参記 2

広島県・広島市江波。
「えなみ」じゃなくて「えば」。

ギタリスト・アベフトシさんを好きな方にはおなじみ、アベフトシという鬼才を産んだ土地、江波。
いや、実際にアベさんを産んだのは、アベさんのお母様だけど。

お母様!フトシさんをこの世に産んでくださり、ありがとうございます!ファンとして感謝を申し上げます!


2023年1月22日、アベフトシさんのお墓参りをするため、広島へ行ってきました。noteの売上を握りしめて。

2022年4月に初めて行って以来、9ヶ月ぶり。吉川晃司さんのライブへ行くことにかこつけ、お墓参りをしてきました。

(↓前回、初めてお墓参りをした時の話はこちら)


路面電車の停留所で降りると、目と鼻の先にあるスーパーマーケットへ。

私の行きつけ「マックスバリュ江波店」

アベさんのお墓はロウソクを灯す場所が無いため、お線香とお花だけを購入。ギネスビールも買おうかと思ったけれども、この日は取り扱いが無かった。置いてくれたら、それなりに需要があると思うんだけどな。
ちょっと特殊すぎる需要だろうか?

前回、春にお墓参りをした際は、墓前の花がほぼ全て枯れ、少し寂しかったのを思い出し、お花は多めに購入。小さめの菊が沢山咲いているものを紫・白、合わせて4枝、綺麗に咲き始めた薄ピンクのバラも合わせて購入した。花束を左手に抱え、アベさんが眠る墓地へ向かう。

記事をお買上の皆様、ありがとうございました

この日の広島市内は心底冷え込む。泊まったホテルでテレビを点けると、翌日から、この冬一番の寒波がやってきます、広島にも雪が降りますよ、と地元局の天気予報が盛り上がっていた。
この冬一番の寒波がやって来るにふさわしい曇天の下、寒風吹きすさぶ江波を歩くと、かすかに潮のにおいがする。

寒い……独り言をつぶやきながら、墓地の細く曲がりくねった階段を登る。日曜日のせいか、墓地のあちこちでお墓参りをする人を見かけた。

アベさんが眠るお墓がある段まで登りきると、水を汲み、さっそく墓前を訪ねる。
薄灰色の墓石に「安部家」と横書きで彫られた、私の背よりも小さなお墓。アベさんを生で見たことが無い私にとっては、187cmもある長身が眠っているというのがなんだか不思議で仕方がない。
けれど、墓石に彫られた「俗名 太 行年四十二才」の文字を目にすると、確かにここに納められたのだという実感が首のあたりにぞわぞわとまとわりつく。
墓前に一人立つと、心は引き締まるが同時に低い雲がかかり、つい色んな事を考えてしまう。

墓前で考え込むと暗くなっていかんなと思い、慌ててお墓周りを軽く掃除。どなたかが供えたお線香の燃え殻を片付け、花立ての水を取り替える。
花がたっぷりと生けられた花立て、そこから枯れたお花を抜こうかと思ったが、今回はしおれた花がほとんど無い。黄色い菊、白いバラとスイトピー、水色のストック、赤いカーネーション、かすみ草など、どれも生き生きと咲いている。ここ2~3日の間にお供えされたのだろうか。色とりどりで全く寂しくない。さすがアベさん、人気者は違うな。

持参した小菊とバラを2つに分けて左右に挿すと、墓前が更に華やぎ、一気に春の雰囲気に変わった。大寒波の前触れが吹く冬の青山だけれども、この一角だけは、たっぷりと供えられた花のおかげで心なしか明るく見えてくる。墓前に花が多い、それだけでなんだかいい景色だ。

強い風に気を付けながらお線香に火をつけ、手を合わせる。きちんと燃え進んでいることを確認し、少し名残惜しいが山を下りた。

門前を出て、軽く江波の町を散歩。小さめの漁船が沢山係留されたこじんまりした港や、カキの加工場が並ぶ通りを横目に潮の香りを胸いっぱいに吸い込む。
住宅街の狭い路地を歩くと、港町らしく、瓦屋根の家が目に付く。白壁の蔵を持つ家や、板張りの古い家、いかにも漁師町らしい風情のある家々が肩を並べ、下町情緒が強く残る町並み。市内の繁華街からほんの3~4キロしか離れていない地域のはずだが、高層ビルやマンションが並ぶ市内中心部とは趣が全く違い、静かな佇まいを見せている。

幼少期、港町で育った私にとって、潮のにおいも、住宅街の雰囲気も、なにもかも懐かしい気配を持つ江波。まさか広島まで来て、地元を思い出して懐かしい気持ちになるなんて、思いもしなかった。
初めて江波の町を歩き、昔の漁師町の気配が残る辺りを見て歩いたが、アベフトシという人がここから出てきたというのが、町を見てなんとなく実感できた。

私見だけれども、港町で育つ人は、総じて気が強いタイプが多い気がする。荒っぽいというか、負けず嫌いなのだ。それは多分、海で働く時、気持ちが弱いという事は死につながるから。

例えば「漁師」。
荒れる海へ漕ぎだした時、船の上で気を抜くと、一瞬で波にさらわれる。あるいは、漁具や機械に巻き込まれてケガをするというのが当たり前の世界。
あるいは「荷運び・港湾労働」。
かつては、沖に停泊した貨物船からの荷揚げ荷下ろし、船から「はしけ(荷運びの小船)」へ、「はしけ」から桟橋へ、荷物を動かすため労働者が集まった。危険が多く体力勝負となる現場では、ぼんやりしているとすぐ海に落ちてしまう。
そして、どこからともなく荒くれ者が集まるのもまた、港町。

ミッシェルガンエレファントの映像や、古いインタビューを見ると、アベさんが持つ「普通は身に付けない特技」や、「気持ちが強い性格」が表れているエピソードが散見されることがありますよね。
それを、私は今まで、微笑ましいなと眺めていたのですが、この町がアベさんの性格に影響を及ぼしたと考えれば、色々と合点がいく。
また、都会の大学の軽音楽サークル出身だったミッシェルガンエレファントに「不良性」を持ち込んだのもアベさんだと私は思っておりまして。
この町がアベフトシに不良を仕込んだと言われれば、さもありなん。

ここで確かにアベフトシは仕立てられたのだと。潮のにおいを嗅ぎながら、そんなことを考えた江波散歩でありました。

ねぇアベさん?どう思います?


\\うっさーい!シバくぞボケ!コラァ!//



【追記】
この日の夜、広島・ヲルガン座での楽しいひとときを過ごしました。そこにはいないのに、自然とウエノコウジさんの話になってしまう辺り、やはり地元のスターだなとしみじみします。


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