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友達になって

先日、広島へ行ってきました。好きです、広島。

9か月ぶり、人生で2度目の広島。親戚や友達がいる訳でもないのに、1年に2度も足を運ぶことになるとは思わなかった。
全部、アベフトシさんのせいだ。

1度しか行ったことが無い広島。前回、そのたった1度で大好きになったお店に再び寄りたくなり、夜の広島をふらふら。足が自然とノスタルジックな建物へと向かう。

泣く子も黙るレトロなたたずまい

広島市・十日市「音楽喫茶ヲルガン座」

繁華街にも近く、路面電車も走るメインストリートに面したビル。現代的なビルが並ぶ通りにおいて、ひときわ目立つクラシックスタイルなビルの2階。
壁に演劇やライブのポスターが所狭しと貼られ、壁画も描かれたほの暗い階段、そこを登った所にある店のドアを開けると、店内に飾られた剥製やドライフラワーといった、命の痕跡を残す物が醸し出す独特の空気がこちらを圧倒する。
アップライトピアノが置かれたステージ、壁に飾られた絵、額縁にはまった大きな鏡、飾られた立体造形物、置かれた本、それらが放つ魅力。アート作品や小物が薄暗い店の中でチラチラと輝き、味わいある隠れ家といった雰囲気を作り上げている不思議な空間。

店の入り口に立つと、前回ここに初めて来た時、「お好きな席へどうぞ」と言われ、その独特な空気に少し物怖じしたのを思い出します。
このお店の魅力を一言で表現するのは本当に難しいです。まだ2度目の来店だけど。
何より、このカフェに集まるお客さん達と、店員の皆さんが作り出す近しくてもベタベタせず暖かい空気感がいいなと思うんですよね。
これを作っているのが、オーナーのゴトウイズミさん。

私は、昨年初めてヲルガン座を知った時この方のファンになり、いつも流れてくるツイートを眺めているのですが、ついにイズミさんとお話をする機会がありまして。

1月22日、広島で吉川晃司さんのライブを見た後、お茶でも飲もうかとヲルガン座へ立ち寄った時の事。
店の奥にある小上がり、こたつ付きの席でリラックスしていたら、不意にイズミさんがお店に顔を出してくれました。

初めましてと挨拶し、吉川晃司さんを見に来ましたと話すと、イズミさんが少し驚いた顔でたずねてくる。

「おぉ~!どう?どうでした!?」

広島出身の吉川さんと、バックバンドのウエノコウジさんが交わす「広島弁丸出しMC」のレベルが高く、東京から来た私は理解が追い付かなくて困りました。と話すと、手を叩いて笑ってくれた。

「ウエノコウジの言葉は古いからねぇ~!『ワシは~、ワシのぉ~』でしょ?今どきの広島の人はあんな昔の広島弁使わないよ。」

ウエノさんの声色を少し真似、あの広島弁は、地元のご老人世代が使うレベルだと断言するイズミさん。
「ここでライブをした時もね~」なんて、武藤昭平withウエノコウジがヲルガン座ライブをしたときの楽しい話を披露してくれました。

「東京から来たの?私、去年、浅草で武藤昭平さんの歌に合わせて踊ってて。」

ぞ、存じ上げておりますっ!
それ、私は仕事で見られなかったんです!イズミさんと武藤さんの共演なんて最初で最後かもしれないと思ったけど、公演を知った時には時間が無くて、どうにも休みの都合がつけられなかったのが悔しくて、悲しくて……!
あの、また東京でやって頂けませんか?

ここぞとばかりに、図々しくお願いしてみた。得意技の早口で。
わざわざ時間をかけて広島まで来たんだもの!イズミさんとお話する機会なんて、ここを逃したらもうないよ!頑張れ私、チャンスを逃すな!

これぞオタクの妙。オタクの情熱に図太さが加わり、今年一番の圧力を発揮できた!
私の圧が伝わったのか、イズミさんも笑って答えてくれる。

「そうなんだー。それなら、武藤さんにお願いしてみようかな。『武藤さんのファンからリクエスト入ったから』って。」

お願いしてみて下さい!
絶対見たいです!お願いしまーす!!

ところで、どんな経緯でイズミさんと武藤さんが共演することになったのだろう。私が知る武藤さんは、仕事では色っぽい香りを出さない印象なのですが。

そもそも、武藤さんのいる「勝手にしやがれ」は男くさいイメージを裏切らないバンド。「武藤昭平withウエノコウジ」の時は、ウエノさんが場を和ませるためにリップサービスする事もあるけれど、武藤さんはそういう話にはほとんどのってこない。楽しそうに話すウエノさんの横で、武藤さんはいつも表情を変えずけろっとしている。少なくとも客の前では。
そんな武藤さんが、イズミさんの表現とタッグを組むなんて、どういう風の吹きまわしだったんだろう。

「元々、私ともう1人ダンサーがいて、そこで弾いてくれる人をお願いするスタイルでやってたの。でも『武藤ウエノ』をここで見て、武藤さんいいなぁ~なんて思って。」

あぁ確かに。武藤さんが持つアングラ感と、イズミさんの表現は合うだろうな。

「ただ、武藤さんこういうのを引き受けてくれるかな?って心配になって、探ってみたの。『こういうのがあるんですが……』って。そしたら弾きますよって言うから。」
「武藤さん多分、どういう内容か分かっていないなと思ってね。『あの、……とかお好きですか?』って聞いたら、『いや、嫌いじゃないですよ』なんて普通の顔で言うし。だから、『こういう企画があって~』ってお願いしてみたの。」

む、む、むとうさんに「……お好きですか?」なんて確認したんですか!?
武藤さんも、表情を変えずに返したの?

ひぇぇぇ……大人の世界。

しかし、イズミさんって直球ストレートで強い球を投げるんだなぁ。球速170キロくらい記録したんじゃない?武藤さんが相手でもこれは強いわ。
広島に大谷翔平を超えるスーパースターあり。
広島カープの球団関係者は、大至急、十日市のゴトウイズミ投手をスカウトして頂きたい。これで今年のカープは優勝決定でしょ!


イズミさんと武藤さんの会話を想像してみたが、私には無理だ。だいたい、そんな大人の会話に立ち入れる人なんていない気がする。

「そしたらね、横で聞いてたウエノコウジが『俺、それ見たいわ~!!』って笑ってた!」

……いた。大人の会話に割り込める人、いらっしゃった。

ウエノさんの存在を忘れていた。誰とでも明るく面白く話す「コミュニケーションの鬼」ウエノコウジなら、2人の会話にもするりと入れるはずだ。
イズミさんの大人のオファー、それを普段の顔を崩さず受ける武藤さん。その隣で、「見たいわ~!」と笑うウエノさん。

あー、想像つく。今、私の頭の中では、3人の映像と声がドルビーシネマで鮮やかに再現されている!

なんて楽しい大人達の会話なんだろう。人生経験を積み、器が大きく余裕ある大人だからこそ成り立つ、ヲルガン座での夜の一場面。
カッコいいなぁ~!素敵すぎて憧れちゃう。

そんな3人の会話を想像し、少しニヤつく私にイズミさんから提案が。

「もし東京でやったら、友達4人連れてきてね!」

友達4人!4人もですか?

「うん。いっぱい連れてきてくれないと!」

うーん、困った。私の回りにそういうのが好きな人、いたかな?
こういうディープな公演は、1人で見に行くつもりでいたからなぁ。

イズミさんの踊りに武藤さんの歌とギター、アングラ感あふれる最高の非日常。けれども、こういったエンターテインメントをたしなむ趣味を持つ友達なんて、周囲ではすぐには思いつかない。

これをお読みの方で、お2人が共演したら東京へ見に行きたい!という方、いらっしゃいませんか?
もしいたら、今すぐ私と友達になって欲しい。ぜひ、一緒にパーティーを組みましょう!

しかし、同好の士を4人も集められるだろうか…。正直、自信が無い。
誰か、せめて1人でも良いから、こういうショーに興味のある方はいないだろうか。
うーん。今は1人しか思い当たらない。

ウエノさーん!
私と一緒にイズミさんと武藤さんの舞台を見ませんかー?
友達ってことにして、当日、ウエノさんに付き添って貰いたいです!

ゴトウイズミ×武藤昭平。一夜の共演を見るために、私と一晩だけお友達になってください!どうか、前向きにご検討をお願いします!
そして私の図々しさを笑って下さると嬉しいです。

私とウエノさん、興味のある部分はたぶんきっと違うと思うけど、このショーを見たいという気持ちは一緒だと信じてます!嗚呼、我が同志よ!

頂いたサポートは、私がワクワク楽しくなる活動にありがたく使わせて頂きます!