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映画『パラサイト』好きならコレもいかが?な韓国映画3本

映画『パラサイト 半地下の家族』をみて「韓国映画、面白いかも?」と思った方へ。これもお口に合うのでは?というオススメ作品をご紹介します。同じくポン・ジュノ監督の過去作『殺人の追憶』『グエムル -漢江の怪物-』も大変面白いのですが、いかんせんこんなご時世なので…ほんの少しだけ後味良いのが観たいですよね(パラサイト基準)。かつ骨太でちょっとビター、大人向けのものをピックアップしてみました。

①主演ソン・ガンホつながりで『タクシー運転手 約束は海を超えて』

まんまる顔の「よくいるおじさん」ソン・ガンホの日常に“ちょっとおかしな”出来事が起き始めたら、とんでもなく大変でハラハラする物語のはじまりはじまり!舞台は1980年。韓国の光州(クヮンジュ)で実際に起こった民主化デモと部隊の闘争を描いた物語です。

キーワードは「実話」「ジャーナリズム」「カーチェイス」。

<あらすじ>
1980年の韓国。ソウルで11歳の娘を一人で育てながらタクシー運転手をしているマンソプ(ソン・ガンホ)は、大金に目がくらみドイツ人記者ピーター(トーマス・クレッチマン)を乗せて光州に向かう。マンソプの機転で見事に検問をくぐり抜け、二人は光州に入るが、ピーターは「危険だからソウルに戻ろう」と言うマンソプの言葉を聞かず、撮影を始め……。

たった40年前の隣国でこんなことがまかり通っていたの?と度肝抜かれるような事件に巻き込まれてしまうタクシー運転手(ソン・ガンホ)。貧しくとも平和に生きていた彼が、思いもよらぬ事件に直面し戸惑う様子は、見る側の心情ともリンクしていて一緒にその場にいるような気持ちになります。観終わった後は「いろいろあるけれど今の時代を精一杯生き抜こう!」と前向きな気持ちになるはずです。

それにしても「ソン・ガンホの演技が映画を成功させる」のか、「彼の作品選びが上手すぎる」のか。ポン・ジュノ&パク・チャヌク(後述)という韓国映画界のツートップから寵愛を受け、映画ファンにも愛される彼。”ビンボーでいい加減だけど愛情深いお父さん”を演じさせたら世界一ですね。これ以上の説明は野暮だ、野暮。

② どんでん返しつながりで『お嬢さん』

これはみる人によっては若干エログロだと感じられるかもしれません。日本が朝鮮半島を支配していた時代が舞台で、登場人物たちは片言の日本語で喋ります。ただし、その違和感がぶっとぶほど物語が濃いので心配ご無用。

キーワードは「百合」「騙し合い」「どんでん返し」。

<あらすじ>
舞台は1939年の朝鮮半島。支配的な叔父と、膨大な蔵書に囲まれた豪邸から一歩も出ずに暮らす令嬢・秀子(キム・ミニ)のもとへ、新しいメイドの珠子こと孤児の少女スッキ(キム・テリ)がやってくる。実はスラム街で詐欺グループに育てられたスッキは、秀子の莫大な財産を狙う”伯爵”(ハ・ジョンウ)の手先だった。伯爵はスッキの力を借りて秀子を誘惑し、日本で結婚した後、彼女をある場所に隔離し財産を奪う計画を企てていた。だがスッキは美しく孤独な秀子に惹かれ、その計画は少しずつ狂い始めていく…。

主人公の純朴なメイドと妖艶で謎多きお嬢様の不思議な連帯感、そこへ割って入る計算高い伯爵。そしてキモくて笑える強烈キャラのお嬢様の叔父。濃すぎるキャラたちが絡み合って裏切りあって、誰も予想がつかないであろう結末を迎えます。私は映画館で2度ほど「ウソ…」と思わず声を出すような展開が2回ありました。むしろ騙される快感こそ、この映画の醍醐味だと思うのです。暴力的シーンはありますが、観た後は案外スッキリします。

監督は『オールドボーイ』のパク・チャヌク。ポン・ジュノ監督の『スノーピアサー』にも制作で関わっています。韓国映画が世界から評価されるきっかけを作った立役者とも言えます。ポン・ジュノのバイオレンス表現が「ジワジワ真綿で首を絞める」ものだとするとパク・チャヌクは「刃物でスパッっと鮮血飛び散る」ような鋭さと華を感じます。見比べてみるのもおすすめです。

③ 社会派つながりの『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』

『パラサイト』は昨今の格差社会に焦点を当てた作品ですが、韓国映画に欠かせないもう一つの課題は「南北問題」です。必然的に戦争映画が多くなってしまうのですがここはあえてヒューマンドラマをご紹介します。

キーワードは「組織とミッション」「心理戦」「絆」。

<あらすじ>
1992年、北朝鮮の核開発をめぐって朝鮮半島の緊張状態がたかまるなか、軍人だったパク・ソギョン(ファン・ジョンミン)は北の核開発の実態を探るため、コードネーム黒金星(ブラック・ヴィーナス)という工作員として北朝鮮に潜入する命令を受ける。事業家に扮したパクは3年にもおよぶ慎重な工作活動の末、北朝鮮の対外交渉を一手に握るリ所長(イ・ソンミン)の信頼を得ることに成功し、北朝鮮の最高国家権力である金正日と会うチャンスをものにする。しかし1997年、韓国の大統領選挙をめぐる祖国と北朝鮮の裏取引によって、自分が命を賭けた工作活動が無になることを知り、パクは激しく苦悩する。果たして彼は祖国を裏切るのか、それとも国が彼を切り捨てるのか。また北朝鮮はパクの工作に気づくのかー。

あらすじだけ見るとゴリゴリのスパイ映画ですが、思わずグッとくるヒューマンドラマだと断言します。「下されたミッションに誠心誠意コミットしてきたのに突然の方向転換…どうする?」「組織での立場とクライアントからの信頼、どっちが大事?」など、主人公の悩みは世のビジネスマンでも共感できる部分が多いだろうと思います。人間不信になりそうなピンチの連続、その中で得た「結論」とは?というのが見どころです。個人的には北朝鮮側の責任者、リ所長(名優イ・ソンミン最高!)の目が変わってゆくところと、ラストシーンが大好きです。“みなまで言わん”感じがとても粋。

すべて韓国の興行成績1位を記録したお墨付き作品かつ、日本の配信サービスで視聴可能です。おうちで過ごす週末、そしてリモートワークの合間にお楽しみください。


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