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ファッション素人が丸腰で見た「エルメスが贈るシネマ体験”彼女と。”」

モードやハイファッションに疎い私が、好奇心だけで覗いてみた。
エルメスが贈るシネマ体験「彼女と。」@国立新美術館。

入る前の気持ち→どんな内容か全然想像がつかない・・・。
出た後の感想→エルメスはイメージを変えたいのか?そうなのか!?

私はてっきり映画が見られると思っていた。が、スクリーンで映像を見せられたのは最初の5分。残りの30分は『巻き込まれる』という言葉がぴったりの体験型コンテンツ。

1回に30名ほどのゲストが、一人のインストラクターに導かれて「ある映画の撮影現場に参加する」というテイで進んでゆく。まるでディズニーランドのアトラクションのよう。

申し込みの時点で「アクター」か「エキストラ」を選ぶ際、なんとなく「アクター」は人前で何かやらされる感プンプンで「エキストラ」を選択。

そして予感的中。「アクター」を選んだひとりのお客さんは延々と最後まで、各所に用意されている撮影セットの中で役者さんと演技をするという、結構ハードル高め!な内容。(予約してくれた同行者曰く、アクターの申し込みページの方が繋がりにくかったとか。案外応募殺到!?)我々「エキストラ」も声を出したりするシーンがあって、ちょっと楽しい。

リアルな海のセットも。エルメスの新作?らしきアイテムが所々に。

意外と写真撮影OK。載せてもきっとネタバレにならないと思う。
なぜなら・・・実際に行かないとと全然分からないから。いや、正直行っても分からない部分は分からない(本音)

物語の大筋は、主人公である作家が”エルメスが思い描くミューズ”である”彼女”を探す旅。(以上。なんのこっちゃ)

きっと最後の扉を出た瞬間は「どういうことだったんだろう」とボーっとしたのが正直なところ。フランス映画が好きな人、エルメスというブランドが好きな人は”分かる”のかも。いや、そもそも”分かろうとするもんじゃない”のかもしれない。すぐに「答え」や「結末」を知りたくなっちゃうのは私のいけない癖なんだろう。無粋。

そしてこの解釈が合っているかは不明だけれど、エルメスのターゲットを少し広げたい、保守的な高級品というイメージから脱して攻めたいという姿勢も感じ取れた。私の中でもエルメスは「富裕層の年配の持つハイブランド」「少しお堅め」という印象。そこからもっと「自由に」「奔放に」解放されようとする意思を受けとった気がする(勝手に)。

今日の客層はアラフォーのオサレ男女が多く(アレキサンダーマックイーンとかマルジェラ好きそうな感じ)、エルメス側の狙いは当たっていたのかもしれない。エルメスの小物やカバンを持っている人は皆無だったことを付け加えておく。

ただ、唯一確信できたことは「リアルな体験」に巻き込んで「当事者にすること」はブランドやアーティスト、作品のファン形成に強く効くんだろうなということ。作り物だけれど、一瞬だけれどエルメスの世界観で”遊んだ”というだけで、庶民の私さえ身近に感じてしまう。きっとファッション誌や駅の広告を見たところで、そんな気にはならなかったはずなのだ。実体験って強い。

「母にもらったスカーフがたしかあそこに・・・」と、帰宅後にクローゼットの中をあさってみた。エルメスはまだ似合わない気がしてしまいこんでいたけれど、今度まとってみようと思う。気負わず、自由に。


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