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たった10話の衝撃作「デビルマン crybaby」。

こんにちは、大学最後の夏休みを映画に捧げる、koto です。

そんな私ですが、Netflixオリジナルの衝撃作「デビルマン crybaby」(2019)を観て、現在かなり心にダメージを受けています。

湯浅政明監督、さすがです。

もともと「デビルマン」は永井豪先生のマンガから始まり、1972年にアニメ化をしています。リメイク作品をNetflixでもやっちゃえ!ということで、2019年に配信がされました。

今回はそんな衝撃作「デビルマン crybaby」を観た感想と、湯浅政明監督についてメモを残そうかと。


「デビルマン crybaby」とは。

(あらすじ)「泣き虫の不動明は幼馴染みの飛鳥了に連れられ、とあるパーティーへ行く。パーティーではドラッグ漬けの若者達が踊り狂い、了はデーモンが現れるのを明と待っていた。パーティーの最中、明はデーモンを体に宿してしまい、人間の心とデーモンの体を持った明の闘いと葛藤の物語が始まる。本当の悪魔とは誰か、何が正しいのか。人を思い、人のために闘う心優しい泣き虫の明は、なにを思い、生きるのか...。」



現在の風刺画。

デビルマンの作品は、永井豪先生のマンガが原作で、その後1972年にアニメ化がされています。

私も現在U-NEXTで鑑賞中ですが、今回の「デビルマン crybaby」とは少し世界感が違う。

本作は、まさに日本の、世界の「今」。

インターネットに出回るウソの情報。

魔女狩りのような人種差別。

収入から生じる格差社会。

タトゥーやラップへの偏見。

スポーツ選手への行き過ぎたインタビュー。

全てがたった10話に凝縮された作品です。

そしてそれらの不安要素の矛先をデーモンに向け、攻撃的になる人間の愚かさはどの時代にも共通する。

デーモンへの敵意を最後は同属の人間へ、そして滅亡への道を歩んでしまう模様は、今を生きる私達も一歩間違えれば、いや下手をしたら向かっているのかもしれないと感じる。



ラップ×陸上。

湯浅政明監督は、Netflixオリジナル作品として「日本沈没2020」も製作している。

これも衝撃作だった。

「デビルマン crybaby」同様、キャラクターに依存せず容赦ない描き方が、現実味があり引き込まれます。

日本が直面する社会問題や人間の自己中心主義、愚かさを描いた作品として、お気に入りのアニメです。


「日本沈没2020」でもそうなんですが、湯浅政明監督ってラップと陸上の組み合わせが好きですよね。

「日本沈没2020」「デビルマン crybaby」双方とも陸上競技の種類は違いますが、「走る」ことを大切にしているよう。

「前を向いて、一歩でも前へ」

自分で一歩を踏み出した先にあるものへの価値や経験、成長の意味を教えてくれる競技が、自分の脚で走り続ける陸上だから、採用率が多いのかも。


ラップはその時々の感情や怒り、思いをビートに乗せて歌うことから、双方の作品でも多くのシーンで扱われています。

特に「デビルマン crybaby」ではラップ以外のオープニング曲に電気グルーヴを起用するなど、かなり音楽に力を入れているよう。

私的には本作中に出てくるククンがミーコに歌うシーンが、泣けるので是非観てください。ほんと。


ちなみに「日本沈没2020」のラップも素敵ですよ。

コロナだからこそ、だれもがこの歌の主人公になれる気がします。

「日本沈没2020」は「デビルマン crybaby」よりも、多様性を凄く意識している作品なので、日本の今、若者が特に抱える葛藤にフォーカスしている作品であり、ラップだと思う。



エログロだけじゃない。最後は後に引く悲しさ。

8月中盤のお昼過ぎ、久しぶりにアニメを観たくてNetflixをひたすらスクロールしてた。

「デビルマン crybaby」を見つけたときに、1シーズンで10話だけという手軽さに惹かれ、画も好きだし面白そうだという軽い気持ちで再生ボタンを押した。

そんな単純な思いは開始5分もしないうちに、打ち砕かれる。


最初に観て衝撃を受けたのは、鮮やかな色合いとエログロの比率が美しいこと。

ここまでエログロだと知らずに観た側としてはそれ自体が衝撃だったが、ストーリーや画に引き込まれ、なかなかクセになる作品。

ただポルノ要素の多い大人アニメ作品のイメージで内容もギリギリラインというか、エログロの追求!みたいな始まり。10話の中でどうお話しを終わらせるのか気になるものだった。


中盤へ差し掛かると、愛の要素が強くなる。

相変わらずエログロはキープだったが、内容が重くなる気配を感じた。

ラップに乗せて歌うそれぞれの思いや葛藤。そして主人公・明の人間とデーモンの掛け合い。

「悪い奴は誰なのか、それは必ずしもデーモンと言えるのか。」

そんな明の疑問が痛いほど伝わってくる。


終盤は、衝撃ばかりで心が抉られるシーンが多かった。

息苦しくなるし、何が「悪」なのか。結局は人間じゃないか。って。

終盤に行くにつれ、みえる人間の闇。

「この人物にはこうあってほしい」

そんな理想はさよならです。

現実にすごく近いアニメで、もうほんと、鑑賞後に感じる身体の重さは果てしなくて、衝撃シーンが頭の中で無限ループしていました。


私はマンガも読んでいないし、1972年に放送された「デビルマン」も今鑑賞中。

そのため原作との比較はできないが、これだけは言える。

「この作品まじですごい」

MVを見ているような綺麗な映像で、エログロでさえ重いというよりは美しかった。

軽い気持ちで観始めた「デビルマン crybaby」は、たった10話なのに様々な要素と感情を捻じ込んできたし、こんなに面白くて社会問題にフォーカスした作品を自分も創りたいって。

おすすめをしたいかって言われたら、わからない。

エログロ要素強めの前半から、愛を語る中盤、そして衝撃的なシーンばかりで目を背けたくなる終盤が盛り沢山の本作を、おすすめしていいのかわからない。

最後はすごく歯がゆいし、悲しくて心に穴がぽっかり空く。2019年公開「ジョーカー」を観終わった後に感じる、人間の惨さが全身を巡ってるときに近い。


鑑賞した方、ぜひ感想を。

私は落ち着いたらまた観直そうと思います。

では。


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