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はじめての「作家の時間」

朝の会を終えて
「作家の時間だよ〜。」と言うと、小さく「え〜」と、やる気のない声が聞こえた。
どの子が言ったか分かった。
その瞬間から「この子が楽しいって思えたら大きな成果だなぁ」と思い、授業スタート。
始めにスライドを見せながら作家の時間についてレッスン。
その後すぐに書く時間にしたが、書き出すのが分からない人を集める声かけをしたが、特にいなかった。
ただ、実践されている知人の先生がまとめた作品集から、いくつかコピーをしていたため、

「お手本になる作品いくつかあるけどいるかなぁ〜?」

と声をかけて教室内と校庭を歩いて回った。

それを欲しがる子は15人ほどいたかな。

活動時間は30分。
教室で1人でやる子、ペアやトリオになってやる子。
外もOKにしたため、外で友達と書いている子。

子「題名が浮かばない!」
と悩む子に
私「書く内容は決まっているの?」
子「うん」
私「じゃあ、書く内容を先に書くといいよ。題名は後でも大丈夫。」
子「そっか。そうすればいいんだ」

子「私、書くの苦手なんだけど、しーちゃんと話しながらだと書ける。」
私「そっか。それはよかった。
友達がいることのよさが改めて分かるね。」

子「教室の方がかなり集中できるなぁ。」
私「いいねいいね。自分の書ける場所見つけられたね。」

今日はほとんどの子が物語を書いていた。
あとは、ひたすら俳句と短歌を書き続ける子もいた。
「はじめての 作家の時間 ドキドキだ」
という俳句ではないが、五七五を書く子。
その他にも楽しそうにいくつも俳句を作っていた。
この子は、授業前に作家の時間「え〜」と言った子。
私「ドキドキなんだね。やってみてどう?」
子「始めたら面白くなってきた。」

30分が経ったので、教室に集まる。
「短すぎるー!」
「もっと作家の時間ほしい!」
「作家の時間おもしれーから、1日やろうよ先生」
などを口々に言いながら自席に戻る。

ある男児2人の作品を紹介。
1人は冒険ものの物語。1人は俳句と短歌。
物語を書いた子の作品を担任が読む。
面白い内容にクラスに笑いが湧く。
俳句と短歌を書いた子の素直な表現に「おー!」「たしかに!」という声。

私「2人の作品、やってることは違うけど、それぞれの良さがあるよね。じゃあ、次の時間も作家の時間にしましょうか。◯時◯分にまた集まりましょう。」※ここで何人かでも良いから感想を聞くべきだった。。。活動時間を取ろうと、時間に焦っていたのかも。

1時間で終わらせようとしていたが、それは子どもたちに無茶をさせてしまうと、子どもたちの書いている姿から反省していたので、次の時間も作家の時間にすることに。
子どもたちは予想を超えるほど作家の時間がはまったようだ。延長に大喜びだった。

2回目は場所を変える子も。
自分の場所を探してるんだなぁと感じた。
「僕は教室がとても落ち着いて集中できる」
「私は外だと気持ちいいからなんか書ける」
など、それぞれが自分の感覚を大切にしながら、この時間を過ごしていることがよく分かった。

ライティング・ワークショップが作家の時間という日本版になって発信されたことは、大きな財産だなぁと改めて感じた。
作家の時間を実践し、発信してくれている実践家の皆さんに敬意の念をもたずにはいられない。

本当にありがたい。


ただ、その多くの実践家の遺してくださったものを、私なりに子どもが楽しく、また確実に書くことを身に付けられるように、これからしっかりと実践していきたい。

今回取り組んでみて課題に感じたことは次の通り。
①結果的には子どもたち同士が進んで協同的に取り組んでくれたから、書き出しに悩んでいた子も比較的スムーズに進めた。しかし、もっと書き出せない子が出たとしたら、と考えると、サポートの仕方をもっときめ細やかな個別対応が必要になってくる。その具体的なサポートのあり方が甘かった。
②今回は物語文と俳句、短歌を中心に書く子が多くいた。生活文は2名のみ。生活文は、私としてはもっと書けるようになってもらいたいと思っている。生活文をすすんで書けるしかけを工夫する必要があると感じた。
③時間の確保が難しい。週に1度できるようにするために、週計画をうまく立てていく必要がある。2時間続きでやれるのがいちばん良いが、悩ましいところ。
④「作家の時間」の本にもある、「作家のイス」に座っての代表者発表を組み込む工夫。
今回は、途中で子供を集め、作業が進んでいる子2名の作品を私が紹介した。その子の作品は、その子が伝えるという流れをしっかりつくっていくこと。

先日の保護者会で、作家の時間の話や子どもたちの様子をスライドで示したところ、ご好評をいただけた。

子どもたちの振り返りには、「始めは書くの嫌だなと思ったけど、すごく楽しくてすごく書けた」「難しいと思ったけど、友達とできたからどんどんできた」といった前向きな感想が多かった。

中には、「書き出しに時間がかかったから、次はしっかり整理して頑張りたい」と、私のサポートの足りなさを明確にしてくれた振り返りもあった。困った子に対しての丁寧なサポートを、次回は特に注意していきたい。


「やってみたいな」という興味本位で始めた作家の時間。
子どもや保護者からのとてもよい反応に担任としては一気に緊張感というか、期待に応えねばという思いが強まった。私も楽しみながら、時に悩みながらも頑張っていきたい。

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